副資材とは、製品製造などで間接的に必要となる資材の総称です。近年、調達コストの圧迫を課題にしている企業が増えていることもあり、副資材管理の最適化が重要となっています。
この記事では、副資材の概要を紹介した上で、副資材を管理する重要性や、管理が難しい理由について解説します。さらに、副資材管理を改善する方法4選や、副資材に特化したおすすめの購買管理システムも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
副資材とは、製品の直接的な構成要素にはならないものの、製造プロセスなどで必要となる資材を指します。具体的には、消耗品や工具、清掃用品、包装材、保護材、オフィス用品などが該当します。
一方、製品を主要に構成する原材料などは「主資材」と呼ばれ、製品の最終的な品質にも影響することから、副資材とは区別されています。
また、企業が購入する備品や消耗品は、「Maintenance(メンテナンス)」「Repair(リペア)」「Operations(オペレーション)」の頭文字を取り、「MRO」とも呼ばれています。
副資材とMROは密接に関連しているものの、目的・役割には違いがあります。というのも、副資材は生産活動をメインに支えるものを指しますが、MROは設備の保守・修理など、生産設備そのものの維持に必要な資材を指すためです。
副資材は、製品の製造には直接関わらないので、「間接材」の一種に分類されています。工場の副資材の具体例や選び方のポイントなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「工場の副資材の具体例を紹介!選び方や発注を最適化する方法、コスト削減のコツ」
副資材と、その他の関連用語との違いを把握することで、購買管理の適正化に役立てられます。それぞれの期間・頻度や使用目的の違いを、下表で確認しましょう。
区分 | 期間・頻度 | 使用目的 |
副資材 | 短期~中期で使い切る | 製造・施工を補助する目的で使用する |
消耗品 | 短期で使い切る | 事務・現場の業務で日常的に使用する |
備品 | 1年以上にわたって使用し、資産性も持ち合わせている | 業務遂行に不可欠な器具・設備として使用する |
間接材 | 短期~中期で使い切る | 最終製品の構成部品ではないが、製造過程で使用する |
近年、業界を問わず副資材の管理が注目されています。その理由として、副資材は主資材に比べると管理が難しい領域とされているものの、管理を適正化することで大幅なコストダウンや業務効率化の促進といったメリットが見込まれるためです。
そもそも主資材の管理に関して、企業は専門部署を設けて、戦略的な管理体制を敷いていることが一般的です。一方、副資材は調達品目が多岐にわたるほか、各部門で発注するケースも多いことから、管理体制を十分に整えられていないケースが少なくありません。
しかし昨今は、購買管理システムを導入して、副資材を含めた間接材の一元管理に取り組む企業が増えつつあります。これにより、在庫の不足・余剰の防止や生産効率の向上を実現し、最終的にコスト削減や業務効率化へとつなげています。
副資材も含めた調達業務の詳細や、業務効率化の方法について知りたい方は、ぜひ以下の記事をご参照ください。
「調達業務とは?基本的な業務内容や必要スキル、業務効率化する方法について解説」
副資材の管理が難しい理由として、以下の4つが挙げられます。
それぞれの理由について見ていきましょう。
一口に副資材といっても、各企業が取り扱っている品種・点数は非常に多く、調達状況を把握しきれていないことが大半です。たとえば、製造に使用する手袋一つとっても、ナイロン製やポリエチレン製、ウレタン加工が施された製品など多くの品種があります。
また、企業は副資材を提供する多数の仕入先と取引することから、仕入先の選定や管理業務が煩雑になりやすく、適切な管理が難しいことも特徴です。そのため、副資材管理においては、品種・点数が多い副資材を一元的に取り扱い、余分なコストを減らす仕組みを導入することが重要といえます。
ほとんどの企業では、副資材の発注を部門ごとに行っているため、管理が複雑になりがちです。というのも、主資材と比べて副資材は少額かつ多品種であるため、調達の専門部門を設けている企業が少ないためです。
調達業務において、本社や特定の部門で必要な資材を一元的に調達することを「集中購買」と呼び、各拠点・各部門で必要品を調達することを「分散購買」と呼びます。副資材の場合、分散購買の方式で発注しているケースが多く、部門間の連携や情報共有が不十分となり、重複発注などが発生しやすくなります。
また、全国に拠点がある場合は、仕入先を統一できていないために同一の副資材でも価格が異なるケースが発生し、コスト管理や仕入先管理のハードルも上がってしまいます。
副資材の効率的な購買を実現できる「集中購買のシステム化」について知りたい方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
「集中購買の成功にシステムが欠かせない理由とは?成功事例も紹介」
副資材は1回あたりの発注額が少額のケースが多く、生産現場などで間接労務費の増大が実感されづらいことも、副資材の管理が難しい理由に挙げられます。たとえば、副資材の仕入先や品種が定まっていない場合は、毎回新たに仕入先、品種を選定するための時間がかかってしまいます。
また、副資材の在庫数を正確に把握できていない場合は、発注数量を決めるために棚卸しを行わなければなりません。1回の発注にかける時間は少ないとしても、品種・点数や部署が多いほど、このような間接労務費は増えていくでしょう。
副資材の購買プロセスについて、適切に整備できていない企業は多い傾向にあります。主資材の場合は、最終製品の品質や出荷納期に関わってくるため、購買プロセスが重視され、多くの企業で独自のルール設定や仕組みづくりを行っています。
それに対し、1回あたりの発注が少額・少量になりがちな副資材は、企業として合理的な購買プロセスを策定できていないケースが多く見られます。しかし、副資材においても基本の購買プロセスを構築しておかなければ、毎回の発注業務が非効率的になるばかりか、属人化が進む可能性も高まるので注意が必要です。
購買管理の基礎知識や基本の流れ、管理のポイントを改めて知りたいという方は、以下の記事もチェックしてみてください。
「【2025年版】購買管理とは?基本的な流れや4つのポイント」
ここからは、副資材管理を改善する方法を4つ紹介します。自社で取り入れられる手法がないか、ぜひチェックしてみてください。
購買管理システムとは、商品の選定や発注、納品・検品など一連の購買業務を管理できるシステムのことです。購買管理システムを導入することによって、副資材の一元的な管理が可能となるため、自社事業における最適化・効率化が期待できます。
具体的には、多品種・少量ゆえに複雑化しやすい副資材の購買業務を効率化できる上、適切な在庫管理や人的ミスの削減も実現できます。副資材の購買プロセスの構築、あるいは整備・修正などが必要な場合も、購買管理システムの導入によって解決へ導けるでしょう。
また、購買管理システムによっては、社内発注者・承認者のID発行や設定変更が可能なほか、部門ごとの予算設定や、購買情報と紐付ける費目コードの設定も可能です。
自社の購買業務に最適化した購買プロセスの構築・運用が可能となるため、副資材管理全体におけるコスト削減も見込めます。購買管理システムの詳細やシステムの種類、導入するメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「購買管理システムとは?企業における必要性やシステムの種類、メリット・デメリットなどを徹底解説!」
なお、ビズネットでは購買管理システムの選定に役立つ資料をご用意いたしました。選定のポイントだけでなく、導入・運用の流れなども解説していますので、ぜひご活用ください。
副資材の棚卸しを定期的に実施することで、正確な在庫状況を把握できます。そして、在庫の不足や余剰の有無を把握すれば、副資材の補充や調整といった対応を的確に行えるでしょう。
とはいえ、副資材は多品目にわたる上、部門ごとに発注しているケースもあるので、手作業で棚卸しを行うと大きな労力が発生することに留意が必要です。
前述の購買管理システムを活用すれば、購買した品目や日時、数量などが可視化されるため、棚卸しチェックの効率化にも役立つでしょう。
副資材を安定的に調達するには、サプライヤーとの連携体制を強化することが重要です。信頼性の高いサプライヤーと良好な関係を構築できれば、副資材を必要な数量・タイミング・価格で安定的に供給してもらえる可能性が高まります。
また、イレギュラーな短納期対応などが可能であるかということも、事前に確認しておくとよいでしょう。自社に適したサプライヤーを選定するには、品質・コスト・納期などの指標に基づいて、サプライヤー評価を行うことが不可欠です。
サプライヤー評価の詳細や評価基準、評価する際のコツなどは、以下の記事で詳しく解説しています。
「サプライヤー評価とは?取り組むメリットや具体的な評価基準、評価する際のコツについて解説」
適切な副資材管理を継続するには、従業員への教育・トレーニングを行うことが大切です。新入社員や異動した従業員に対しての教育カリキュラムなどを事前に整備しておくことで、適正な副資材管理のルールや方法について従業員に周知徹底できます。
併せて、副資材管理ではコンプライアンスの強化も重要です。コンプライアンスを強化できていないと、従業員による私用品の購入、あるいは仕入先との癒着などが発生するおそれがあります。
また、従業員が強引な価格交渉を行ってしまい、下請法に触れるといったコンプライアンス違反が発生する可能性もあります。購買業務で発生した不正事例については、以下の記事をご参照ください。
「購買業務に関する不正事例|従業員に購買調達に係るコンプライアンスの徹底を!」
このような不正を防ぐためにも、コンプライアンスの強化が不可欠です。具体的には、法令・規範の遵守に向けた内部統制の実施や、購買管理システムの導入が有効です。購買プロセスにおける内部統制の必要性やポイントについては、以下の記事をご覧ください。
「購買プロセスにおける内部統制の必要性|購買業務における不正リスクも紹介」
副資材向けの購買管理システムを導入するなら、ITトレンドの購買管理システム部門で年間ランキング1位、BOXILの購買管理システム部門で月間ランキング1位といった実績がある、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」がおすすめです。当システムは、矢崎総業、東京電力、東京ガス、小田急電鉄など、すでに14,000社以上の企業様にご利用いただいています。
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また、「購買管理プラットフォーム」ではEC未対応の既存取引先の電子カタログ化や、会計システムとの連携による請求・支払い業務のDX化なども実現できるので、自社に最適化した副資材管理を行えます。
小田急電鉄様では、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」を導入したことで、購買業務1件あたりの発注時間を3分の1以下へ削減することに成功しています。
もともと同社では、副資材の購買プロセスが要求部門と購買部門をまたいでいるために、以下のような課題を抱えていました。
そこで、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」を導入したところ、同プラットフォーム上で発注から納品までを管理できるようになったほか、購入実績の一括管理や、横串検索機能によるスムーズな価格比較が可能になりました。
その結果、従来は9~25日かかっていた納品リードタイムを、最短3~10日まで短縮。さらに、2021年4月~2023年3月までの2年間で、購買業務時間を約654時間削減することにも成功しています。
副資材の管理が難しい理由として、「品種・点数が多い」「部門ごとに発注するため管理が複雑化している」などが挙げられます。自社の副資材管理を改善するには、購買管理システムの導入や定期的な棚卸し、サプライヤーとの連携体制の強化を検討しましょう。
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この記事の監修者
ビズネット株式会社
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