副資材であるMROは企業の生産活動に不可欠であるものの、管理が難しいといわれています。
今回は、MROの概要や市場動向を解説した上で、MRO管理が注目されている理由や、MRO管理が難しい4つの理由を紹介します。併せて、MRO管理を最適化・効率化するための具体的な方法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
MROとは、「Maintenance(メンテナンス)」「Repair(リペア)」「Operations(オペレーション)」の頭文字を取った言葉で、企業が購入する備品や消耗品を指します。副資材や間接材と呼ばれるケースもあり、具体的には工具、事務用品、梱包材、電気部品などが挙げられます。
MROを適切に管理できれば生産工程を円滑に回せるようになるため、近年は各企業がMRO管理を重視している傾向にあります。以下の項目では、MROの市場動向と、直接材との違いについて見ていきましょう。
そもそもMROの市場は企業間取引(BtoB)を基本としており、従来はMRO専門の商社が市場を大きく占めていました。しかし近年のMRO市場では、IT化の進行に伴い、MROに特化したECサービスなどがシェアを拡大している状況にあります。
また、MROの種類という点で見ると、産業用モーターやポンプといった調達品目を含む「産業用MRO」の市場シェアが伸びている傾向です。産業を営むことにおいて産業用MROは不可欠であるため、適切な管理はもちろん、安定的な供給が可能なサプライヤーの確保が重要といえるでしょう。
なお、近年はサステナブルな事業への注目度が高まっていることも関係し、「Repair(修理)」に関するMRO製品の需要が増しています。世界的に見ても、MRO製品の市場規模は今後も拡大することが見込まれています。
MRO(副資材)とは、製品の製造には直接的に関係のない工具やメンテナンス部品などを指し、「間接材」の一つに分類されます。一方、直接材は企業の製品に不可欠な原材料や中間品などを指す点に違いがあります。
たとえば、自動車を製造する場合、ドアやハンドルは直接材に分類されますが、組み立てで用いる工具や作業員が着用するヘルメット・作業靴はMROに分類されます。オフィス環境の場合は、文具類やコピー用紙などがMROに含まれるでしょう。企業の売上や戦略には直接的に関わらないものの、経費として計上することが可能です。
近年、業界問わずMRO(副資材)管理が注目されています。その理由として、MROは直接材に比べると管理が難しい領域とされているものの、管理を適正化することで大きなコストダウンや業務効率化の促進といった恩恵が大きいためです。
一般的に直接材については、専門部署を設けて、戦略的な管理体制を敷いている企業がほとんどでしょう。一方、MRO管理の場合は、調達品目が多岐にわたるほか、各部門で発注するケースも多く、これまで管理体制が十分に整っていないケースが見られました。しかし近年は、購買管理システムを導入することで、MROを含めた間接材の一元管理が可能となり、コスト削減や業務効率化を実現している企業も増えつつあります。
そのため、すでに管理体制が確立されている直接材の領域ではなく、改善余地のあるMRO管理も昨今新たなサービスが展開されていることもあり、企業から注目されているのです。調達業務について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
「調達業務とは?基本的な業務内容や必要スキル、業務効率化する方法について解説」
MRO(副資材)管理が難しい理由として、主に以下の4つが挙げられます。
MROにおけるコスト削減は難度が高いため、MROの適切な管理が有効とされています。仮にMROの管理が十分でないと、発注時の時間的コストなどの負担が増し、自社の利益率が下がるおそれがあります。
MRO管理が難しい4つの理由について、以下の項目で詳しく見ていきましょう。
一口にMROといっても、各企業が取り扱っている副資材の品種・点数は多い傾向にあり、調達状況を把握しきれていないことが多いです。たとえば、製造に使用する手袋一つとっても、ナイロン製やポリエチレン製、ウレタン加工が施された製品など多くの品種があります。
また、企業にはMROを提供している仕入先が多数存在していることから、仕入先の選定や管理業務が煩雑になりやすく、適切な管理が難しいことも特徴です。そのため、MRO管理においては、品種・点数が多いという課題を解決し、余分なコストを減らす仕組みを導入することが重要といえます。
ほとんどの企業ではMROの発注は部門ごとに行っているため、管理が複雑になりがちです。比較的金額の大きい直接材の場合は、特定の部門がまとめて調達するケースも見られますが、MROは直接材と比べて少額で多品種であるため、MRO調達の専門部門を設けている企業が少ない傾向にあります。
そもそも本社や特定の部門で必要な資材を一元的に調達することを「集中購買」と呼び、各拠点・各部門で必要品を調達することを「分散購買」と呼びます。MROの場合、分散購買の方式で発注しているケースが多いため、部門間の連携や情報共有が煩雑になりやすいです。
また、全国に拠点がある企業は、拠点ごとに仕入先が異なることにより同じMROでも価格が異なるケースがあるため、コスト管理や仕入先管理が難しく、効率的に調達することが重要な課題となっているのです。
MROの効率的な購買を実現できる集中購買のシステム化について知りたい方は、ぜひ以下の記事をご参照ください。
「集中購買のシステム化で購買のコストダウンを実現!集中購買の概要や分散購買との違いも紹介」
副資材は1回あたりの発注額が少額であるケースが多いため、現場には間接労務費が増大していると実感されづらいことも、MROの管理を難しくしている理由の一つです。たとえば、MROの仕入先や品種が定まっていない場合、毎回新たな仕入先、品種を選定するための時間がかかってしまいます。
また、MROの在庫数を正確に把握できていない場合は、発注数量を決めるために棚卸を行う必要があります。1回の発注にかける時間は少ないとしても、品種・点数や部署が多いほど、間接労務費は増えていくでしょう。
MROは、ベースとなる購買プロセスを構築していないことが多い傾向です。直接材の場合は、最終的な製品の品質や出荷納期に関わってくるため、多くの企業では直接材に関する購買プロセスを重視し、自社のルールや仕組みづくりを徹底しているでしょう。
一方、MROは1回あたりの発注が少額・少量であるケースが多いため、企業として合理的な購買プロセスの策定に踏み切れていないケースが多く見られます。しかし、基本の購買プロセスを構築していないと、非効率的な発注業務が日常的に発生するほか、属人化が進む可能性も高まるため注意が必要です。
ここからは、MRO(副資材)管理を最適化・効率化するための方法を、2つの項目に分けて紹介します。
購買管理システムを導入することによって、MROの一元的な管理が可能となるため、自社事業における最適化・効率化が期待できます。具体的には、MROが多品種・少量であることで複雑になりやすい購買業務を効率化できる上、適切な在庫管理や人的ミスの削減を実現できます。
MROの購買プロセスの構築が必要な場合や、適切な購買プロセスへの修正が必要な場合など課題がある際も、購買管理システムの導入によって解決へ導けるでしょう。購買管理システムによっては、社内発注者・承認者のID発行や設定変更が可能なほか、部門ごとの予算設定や、購買情報と紐付ける費目コードの設定も可能です。
自社の購買業務に最適化した購買プロセスの構築・運用が可能となるため、MRO管理全体におけるコスト削減も見込めます。
購買管理システムとは、企業の購買活動で調達品の価格や品質、納期を効率的に管理できるシステムを指します。自社に最適化したMRO管理が可能になるほか、EC未対応の既存取引先の電子カタログ化や、会計システムとの連携による請求・支払い業務のDX化を実現できます。
副資材向けの購買管理システムを導入するのであれば、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」がおすすめです。購買データを可視化できるためMRO管理に有効な上、購買活動で抱えている課題に見合った機能を活用すれば、副資材の購買に関わる業務コストの大幅な削減も期待できます。
また、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」は、各専門サプライヤーが提供する5,000万以上のアイテムをディスカウントした特別価格で提供しています。システム内で簡単に商品を比較できるため、最安値商品をスムーズに見つけられるのも魅力です。
ビズネットの「購買管理プラットフォーム」の導入事例として、小田急電鉄様では購買業務1件あたりの発注時間を、3分の1以下へと削減することに成功しています。もともと同社では、MROの購買プロセスにおいて要求部門と購買部門が介在していることで、以下のような課題を抱えていました。
そこでビズネットの「購買管理プラットフォーム」を導入したところ、同プラットフォーム上で発注から納品までを管理できるようになったほか、購入実績の一括管理や、横串検索機能によるスムーズな価格比較が可能になりました。納品リードタイムは最短翌日~7日まで短縮された上、2022年5月~12月までの業務時間を合計すると、約171時間の業務時間の削減に成功しています。
MRO管理でコンプライアンスが強化されていないと、従業員による私用品の購入や、調達先との癒着が発生するおそれがあるため注意が必要です。また、場合によっては、強引な価格交渉を行うことで下請法に触れるといったコンプライアンス違反が発生する可能性もあります。調達に関する不正事例については、以下の記事もご覧ください。
「購買業務に関する不正事例|従業員に購買調達に係るコンプライアンスの徹底を!」
このような不正を防ぐためにコンプライアンスを強化するには、法令・規範の遵守を目指して内部統制を図ることや、購買管理システムを導入することが有効です。購買プロセスにおける内部統制の必要性やポイントについては、以下の記事をご参照ください。
「購買プロセスにおける内部統制の必要性|購買業務における不正リスクも紹介」
直接材に比べると、MRO(副資材)の管理は十分に整備されていないケースが多く、適切な管理体制を敷くことで間接労務費などのコスト削減が見込めます。ただし、MROの品種・点数は多く、管理が複雑になりやすい傾向にあるため、購買管理システムを導入して適切な購買プロセスを構築することをおすすめします。
ビズネットの「購買管理プラットフォーム」なら、購買データを可視化できるのでMRO管理へ役立てられる上、特別価格でのサプライヤー商品の購入や、会計システムとの連携によるDX化も可能です。MRO管理を最適化してコスト削減を実現したいという方は、ぜひ「購買管理プラットフォーム」の導入をご検討ください。
この記事の監修者
ビズネット株式会社
受発注の業務改善によって顧客サービス向上と新たなビジネスの展開を支援する「購買管理プラットフォーム」を14,000社以上の企業に提供しています。電力、電設、建設・医療・製造などの現場専門品の購買業務を最適化し、業務やコスト削減・生産性向上を実現いたします。
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