ビジネスにおいて、支出管理に関する手法である「BSM」の重要性が高まっています。BSMの概要や、ポイントについて知ることで、自社の支出管理にも役立てられるでしょう。
今回は、BSMの概要や、ビジネスで重要な理由、取り組むメリットなどを解説します。併せて、BSMで役立つ購買分析指標や、取り組む際のポイントについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
BSM(Business Spend Management)とは、ビジネスにおける支出管理を行う手法のことです。経理や購買に関するデータを利用して、企業の支出の管理・適正化を図ることを目的としています。
特に近年は、間接材を対象としたBSMの管理システムが注目されています。日本で主流の管理システムとしては、「SAP Ariba」や「Coupa」が挙げられます。
なお、売上向上を目指すために顧客の管理を行う「CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)」とBSMは、対比されることもあります。
以下では、BSMの対象コストについて見ていきましょう。
BSMの対象コストとして、「経費」と「間接費」が挙げられます。経費は、企業が事業で収益を得るために必要な支出であり、税法上、管理を行わなければなりません。具体的な費用としては、人件費、消耗品費、通信費、広告費、福利厚生費などが該当します。
一方、間接費とは、製品・サービスを作る上で間接的にかかった物理コスト及び労務コストを指し、原価計算上、管理が不可欠です。具体的な費用として、間接材料費や間接労務費が挙げられます。
間接材の概要や種類、計算方法などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「間接費とは?種類や特徴・配賦・計算方法や事例など 知っておきたい基礎知識を徹底解説!」
ビジネスにおいてBSMが重要な理由の一つに、間接材が関係しています。そもそも間接費は、企業の支出のうち10~15%程度を占めるともいわれている費用です。
間接材の管理を特定の社員に任せている状況では、属人的な運用に陥りやすい上、適切なBSMを実現できなくなる可能性があります。特に昨今は、市場のグローバル化が進む中で、企業としてBSMを導入して不要な支出を削減し、利益をアップさせる重要性が高まっています。
また、一般メーカーでは、直接材に関する生産管理システムを導入している一方、間接材の管理は十分にフォローできていないケースが多い傾向です。そのため、間接材の管理が可能なクラウド型システムなどを活用し、より適切な管理体制を確立することが求められています。
間接材の調達における課題や、コスト削減方法を知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
「間接材とは?直接材との違いや調達における課題・コスト削減方法を紹介」
次に、企業がBSMに取り組むメリットを3つ紹介します。
BSMでは、支出関連の書類が全てデジタル化され、多様な部署や拠点間でデータの共有が可能です。データを一元的に管理することで、支出のパターンや傾向を把握し、効果的に分析できます。これにより、重要度の高い支出を特定し、戦略的な購買活動を進めるでしょう。
また、戦略的な購買に取り組むことで、購買のコスト削減や最適化にもつなげられます。
BSMを導入することで、これまで担当者や部署ごとに行っていた資材の発注を一括化し、集中購買体制を構築できます。これにより、サプライヤーとの価格交渉を有利に行える可能性が高まるでしょう。
たとえば、資材の発注量を多くすることで、ボリュームディスカウントをしてもらえるケースもあります。ただし、過度な価格交渉は、独占禁止法や下請法に抵触するおそれがあるので注意が必要です。
サプライヤーの概要や具体例、選定ポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「サプライヤーとは?簡単にわかるメーカー・ベンダーとの違いや各業界におけるサプライヤーの具体例」
BSMでは、取引先や発注した品目に関する情報を全てデータ化するため、企業のコンプライアンス遵守にも役立ちます。もし、購買担当者とサプライヤー間で不正な癒着が発生した場合や、購買業務が属人的になってしまった場合は、不透明な取引が行われ、企業に損失をもたらす可能性があります。
データを全社的に共有すれば、経営層を含む誰もがリアルタイムで状況を把握できるようになり、購買における不正を防止することにつながります。購買業務の不正事例については、以下の記事をぜひご覧ください。
「購買業務に関する不正事例|従業員に購買調達に係るコンプライアンスの徹底を!」
なお、今回は調達購買部門向けの内部統制ガイドをご用意いたしました。内部統制の基礎知識や不正の例について紹介しているので、ぜひご一読ください。
ここでは、BSMで役立つ購買分析指標を4つ紹介します。
指標 | 概要 |
相見積購入率 | 複数のサプライヤーから見積もりを取得し、最適なサプライヤーを選定して購入しているかを判断する指標。相見積購入率を向上させることで、適正価格での調達や、サプライヤー間の競争促進が見込まれる。 |
見積回数 | サプライヤーに対し、複数回にわたって適切に交渉しているかを判断する指標。見積り回数が増えれば、交渉機会の増加や、調達プロセスの透明性の確保などにもつながる。 |
カバー率 | 特定の品目において、担当者が購入に関与した割合に関する指標。カバー率を向上させれば、適切な人材配置の実践にもつながる。特定の品目において、担当者が購入に関与した割合に関する指標。カバー率を向上させれば、適切な人材配置の実践にもつながる。 |
平均削減率 | 初回見積価格から削減できた割合を示す指標。購買部門のコスト削減目標の達成度合いを数値化し、把握するために重要となる。 |
続いて、BSMに取り組む際のポイントを見ていきましょう。
多くの企業において、「間接材の管理まで手が回っていない」というケースは少なくありません。特に、コストの可視化ができていないことが課題となっています。
理由として、個人あるいは部署ごとに調達していることや、品目が多様であること、発注・請求処理が統一されていないことが挙げられます。間接材支出を適切に管理すれば、大幅なコスト削減も見込めるでしょう。
間接材の管理に適したシステムを検討している方には、間接材に特化した「購買管理プラットフォーム」がおすすめです。BtoBサプライヤーの間接材を会員様向けのディスカウント価格で購入できる上、選定から発注、請求処理などの一元的な管理も実現できます。
サプライヤーマネジメントとは、コスト・納期・品質といった観点からサプライヤーを評価し、既存サプライヤーへのフィードバックや、新規サプライヤーの採用などの施策を実施することです。
資材の仕入れ先であるサプライヤーとの関係を管理することで、不要な支出の削減や、安定性の高い調達体制の構築を図れます。なお、適切なサプライヤーマネジメントを実現するには、評価基準の明確化や、カテゴリー別の定量的な評価を行うことが大切です。
購買のユーザーマネジメントとは、購買プロセスにおいて社内関係者の協力、調整を促すことを指します。ユーザーマネジメントの具体例として、以下が挙げられます。
ユーザーマネジメント例 | 内容 |
需要予測・需要管理 | 社内での需要を予測した上で、調達計画を立てる。市場動向や過去の調達実績なども活用する。 |
調達要件の定義・合意 | 調達要件について、関係者と協力しながら定義・合意形成を行う。 |
コストの適正化 | 組織内で発生している無駄なコストをチェックして、必要分のみを調達するように管理する。 |
システムを活用して調達プロセスを一元管理し、低コストかつ品質基準を満たすサプライヤーから資材を仕入れることで、支出の最適化が図れます。
また、購買業務の効率化を実現できる「購買管理システム」を導入するのも手です。一括発注や在庫管理の一元化により、無駄な購買を減らすとともに、在庫切れも予防できます。
購買管理システムの概要や種類、メリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「購買管理システムとは?企業における必要性やシステムの種類、メリット・デメリットなどを徹底解説!」
間接材の購買を効率化し、BSMの最適化にもつながる購買管理システムとして、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」がおすすめです。「購買管理プラットフォーム」は、すでに14,000社以上の企業様に導入いただいており、ITトレンドの購買管理システム部門では年間ランキング1位を獲得しています。
また、「購買管理プラットフォーム」には以下のような特徴も備わっています。
上記のとおり、5,000万品目以上の商品をディスカウント価格で購入できる上、最安値商品の検索性にも優れているので、自社のBSMの最適化を目指せます。また、購買管理プラットフォーム自体の導入費用は基本無料なので、ハードルが低い状態で導入いただけるでしょう。
「購買管理プラットフォーム」と、支出管理に関するソフトウェアである「SAP Ariba」をシステム連携し、間接材購買の業務効率化を継続させた中部電力株式会社様の事例を紹介します。
同社では、20年ほど使っていた自社システムからSAP Aribaへの移行を検討。そこで、もともと利用していた「購買管理プラットフォーム」とSAP Aribaの連携について、2022年4月にご相談をいただきました。その後、システム間の連携テストや、ユーザーテストを丁寧に重ねた上で、2023年4月1日より稼働を開始しています。
連携後の環境は、旧システムと同じ水準となっており、間接材購買における業務効率化を問題なく継続できています。
企業がBSMに取り組むことで、「戦略的な購買を実現できる」「サプライヤーとの交渉を有利に行える」といったメリットが見込まれます。ただし、BSMの効果を高めるには、間接材支出を管理したり、サプライヤーマネジメントを推進したりすることが大切です。
間接材支出の管理を最適化したいという方は、ぜひビズネットの「購買管理プラットフォーム」の導入をご検討ください。すでに14,000社以上の企業様に導入いただいている実績がある当システムなら、自社のBSMの改善に向けた的確な支援が可能です。
自社の課題やニーズを丁寧にヒアリングした上で、最適なプランをご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
ビズネット株式会社
受発注の業務改善によって顧客サービス向上と新たなビジネスの展開を支援する「購買管理プラットフォーム」を14,000社以上の企業に提供しています。電力、電設、建設・医療・製造などの現場専門品の購買業務を最適化し、業務やコスト削減・生産性向上を実現いたします。
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