近年のDX(デジタルトランスフォーメーション)の波は、企業のさまざまな業務に対して大きな影響を与えています。中でも人事活動や営業活動、販売活動に対するDX化はよく耳にしますが、昨今では購買調達活動に対してDX化を検討している企業も多いです。

しかし、自社の購買活動のDX化を考えている担当者の中には、どのようにDX化を進めればよいのかわからない人もいるでしょう。

そこでこの記事では、日本企業における購買調達DXの現状を紹介した上で、購買調達のDX化による効果や実現するまでの具体的な流れについて解説します。また、購買調達DXの種類についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

日本企業における購買調達DXの現状

これまでの購買調達業務は、「品質・コスト・納期」を意味する「QCD」を管理する役割が一般的でした。しかし、昨今では上記に加えて、企業の社会的責任を表す「CSR」の確保や供給リスクの回避、サプライヤー・担当者のマネジメントといった複雑な業務も求められているのが現状です。

また、データを活用した迅速な意思決定が必要とされる現代においては、営業やマーケティングだけでなく、購買活動にも戦略が必要となっています。しかし、日本企業全体における購買調達のDX化は、未だ進んでいないのが現状です。

ここでは、日本企業の購買調達DXが進まない理由について詳しく解説します。

DX化の優先度が低い

購買調達業務のDX化が進んでない理由としては、営業や生産管理などのDX化に比べて優先度が低いことが挙げられます。

購買業務は、営業やマーケティングのように顧客と直接関わり、企業の売り上げを生み出す「フロントオフィス」ではなく、フロントオフィスが高い成果を出すためにサポートする「バックオフィス」というイメージがあるためです。

そのため、購買業務のDX化に対する投資が収益増加に直結するという認識が社内に広がらず、結果としてDX化の優先度が低くなる傾向にあります。加えて、DX化による業務コストの削減が投資に見合うほどの効果をもたらさないとの見方も、この傾向を強めていると考えられるでしょう。

購買部の従業員が業務に対して不便さを感じていない

購買を担当している従業員が日々の業務に対して不便さを感じていないことも、DX化が進まない一つの要因です。

多くの日本企業は、購買を行うにあたって長年の取引により信頼関係が築けているサプライヤーと取引を行う傾向にあります。そのため、自らの経験や記憶を頼りに購買活動が行えているほか、既存の管理プロセスで問題なく業務を進行できている場合が多いでしょう。

また、取引先が固定されていることにより、必要書類の作成もテンプレート入力だけで済ませられているといった、事務作業に負担を感じていない場合も少なくありません。

しかし「従業員が不便さを感じていないならDX化を推進する必要はない」という考え方は企業経営としてよくありません。加えて、上記のことが慢性化すると購買が属人化され、業務の引き継ぎができない状況を作っている場合もあります。

DX化により業務を属人化させずコンプライアンス強化を図れることはもちろん、空いたリソースを価格交渉やサプライヤーの拡大といった企業の利益に直結するような業務に回すことで、より企業の成長につながるのです。

購買調達DXの種類

購買調達のDX化を推進する上で必要となるシステムは、取引系システムと情報系システムに大きく分類されます。

取引系システムは、主に「ソーシングプロセス」と「パーチェシングプロセス」をサポートすることに特化していることが特徴です。ソーシングプロセスとは、サプライヤーの調査や契約締結前の交渉などのプロセスを指し、パーチェシングプロセスは発注から納品、支払いまでの一連の取引処理のことを指します。

情報系システムは購買調達業務の情報を一元管理し、見える化をすることで意思決定のスピードと精度を高めるシステムです。

購買プロセスを効率化したいなら取引系システム、客観的なサプライヤーの選定や適正価格の把握などを求めるなら情報系システムを活用するとよいでしょう。なお、購買管理システムでは、購買プロセスを最適化させる機能と購買情報を一元管理できる機能が備わっている場合が多いため、全体的な業務効率の向上が期待できます。

購買調達DXの実現による4つの効果


購買調達DXを実現することで、企業は主に以下のような効果を得られます。

  • 購買業務を効率化できる(業務コスト削減)
  • 無駄な購買コストを削減できる
  • 業務の属人化を解消できる
  • 客観的にサプライヤーを選定できる

ここでは、それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。

1.購買業務を効率化できる(業務コスト削減)

購買調達DXを実現することで、業務全体の効率化が見込めるとともに、業務コストを削減できる効果が期待できます。

特に購買活動や請求処理を一元化できる購買管理システムであれば、サプライヤーや購買活動の進捗、購買実績などの管理業務が最低限で済むほか、発注書や請求書などの作成が自動化できるため、より効率化につながるでしょう。

また、DX化により事務作業を自動化・半自動化できると、数量ミスや誤発注などの人的ミスが減らせることから、無駄な業務コストを削減することにもつながります。

2.購買コストを削減できる

購買調達DXを進めることで、購買コストの削減につなげられます。購買コストを削減する取り組みとしては、サプライヤーに対する値下げ交渉やボリュームディスカウントが一般的でしょう。これらの手法は短期的には効果を発揮しますが、長期的なコスト削減を求める場合は再現性や継続性に乏しいことが欠点です。

購買調達DXでは過去の購入データや数量を蓄積して分析できるため、分析結果をもとに最適なサプライヤーの選定と適正価格の把握が可能です。適正価格での仕入れが継続的に実現できるため、より持続可能なコスト削減効果が期待できます。

加えて、値下げ交渉やボリュームディスカウントとは異なり、サプライヤーの意向が反映されないため、どの従業員が担当してもコスト削減が見込める再現性も持ち合わせています。

3.業務の属人化を解消できる

購買調達DXを実現することで、購買業務の属人化を解消できます。業務が属人化している状態の場合、サプライヤーの選定基準や他部門からの依頼内容、発注履歴などが特定の担当者しか把握していない状況になりやすく、担当者が不在の場合に業務が停滞するリスクがあります。

DX化を実現することで、過去の購買情報や業務プロセスをシステムやプラットフォーム上で一元管理できるため、担当者に依存することなく、進捗を把握できる効果が期待できるでしょう。また、見える化により業務の透明性が高まるため、購買情報の共有だけでなく、不正防止にも役立ちます。

4.客観的にサプライヤーを選定できる

購買調達DXを進めることで、客観的な視点でサプライヤーを選定することが可能です。

従来のサプライヤー選定においては、担当者の過去の経験やサプライヤーとの個人的な親密度に頼った主観的な選定が行われていることが多く、個人のバイアスが選定プロセスに影響されているケースがありました。このような選定の理由に一貫性がない状態では、最適な選択を逃すリスクがあるでしょう。

DX化を進めることで、データを用いた選定アプローチを取り入れることが可能となるため、サプライヤーのパフォーマンスやコスト、品質といった客観的な指標にもとづいて選定を行えます。これにより選定の精度が向上し、企業の購買戦略を強化することが可能です。

購買調達DXを実現するには?


購買調達のDX化にはさまざまな効果が期待できることは理解できたものの、実際にどのような流れでDX化を進めればよいのでしょうか。

ここでは、購買調達DXを実現するための具体的な流れについて詳しく見ていきましょう。

1.自社の購買業務に関する課題を洗い出す

購買調達DXを実現するには、まず自社の購買業務に関する課題を明らかにすることが重要です。このステップでは過剰在庫の問題や誤発注の頻度、納期の違背、サプライヤーとのコミュニケーションギャップなど、多岐にわたる潜在的な問題点を洗い出す必要があります。

もし自社の課題が把握できない場合は、ビズネットの「購買業務課題診断」を利用することで、自社が抱えている購買業務の課題を簡単に確認できます。まずは購買部門の課題や弱点を明確にし、改善に向けた具体的なアクションプランを立てる準備を進めましょう。

購買業務の具体的な課題については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
「購買業務を効率化する方法とは?購買調達を改善する上で考えられる企業課題も紹介!」

2.課題に則して具体的な改善目標を決める

次に、洗い出した課題を解決するために必要な改善目標を決めます。このステップで大切なことは、数値を用いた測定可能な目標にすることです。

たとえば、購買業務DXによる業務効率化を目指す場合の具体的な目標としては「紙ベースでの発注を100%削減する」や「購買コストを前年比20%削減する」などがあります。

また、目標を達成するためにKPI(重要業績評価指標)を設計し、定期的に進捗を把握することも大切です。購買目標の設定については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
購買業務の目標設定についてどう考える?購買部を管理している管理職・役職の人に向けて徹底解説

3.目標・目的をもとにシステムを導入する

最後に、設定した目標やKPIをもとに自社に導入するシステムの選定を行います。システムを選定する際は、「自社の購買プロセスに合致するのか」「自社に必要な資材はシステム内で網羅できるのか」など、さまざまな観点で見極めなければなりません。具体的な選定方法については、以下の記事をご覧ください。
集中購買のシステム化で購買のコストダウンを実現!集中購買の概要や分散購買との違いも紹介

また、システムを導入するにあたっては、トラブル発生時に迅速な対応ができるよう、トラブルに関する事前対策や対処方法を確立しておくことも重要です。

ビズネットでは、企業の購買調達DXを実現できる「購買管理プラットフォーム」を提供しています。実際に導入した小田急電鉄様は、購買業務の作業時間を1/3に短縮し、1年あたり171時間ほどの業務量を削減したほか、毎月の請求処理もビズネットが取りまとめることで大幅に減らすことにも成功しました。小田急電鉄様の導入事例の詳細については、こちらからご覧いただけます。

購買管理プラットフォームについて興味がある企業の購買担当者は、ぜひ以下よりご確認ください。

購買調達のDX化をするなら「購買管理システム」がおすすめ

購買業務の効率化や課題解決を実現するには、営業や生産管理業務と同様に、DX化を検討する必要があります。DX化を推進することで、業務効率化だけでなく、コスト削減や属人化の解消といった多くの効果を得られるでしょう。

購買調達DXを実現する上で効果的な方法は「購買管理システム」の導入です。ビズネットが提供する「購買管理プラットフォーム」なら、購買プロセスを一元管理できるため、業務改善を効果的に進められます。購買業務のDX化を検討している企業担当者は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

ビズネット株式会社

受発注の業務改善によって顧客サービス向上と新たなビジネスの展開を支援する「購買管理プラットフォーム」を14,000社以上の企業に提供しています。電力、電設、建設・医療・製造などの現場専門品の購買業務を最適化し、業務やコスト削減・生産性向上を実現いたします。

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