テレワークの浸透や人材不足の解消のため、一部の業務を外部に委託したいと考える企業は増えています。外部委託できる業務はさまざまあり、調達や購買に関する業務もその1つです。
外部委託するサービス、いわゆる「アウトソージング」にはさまざまな種類がありますが、近年注目を集めているのが「BPO」と呼ばれるサービスです。
この記事では、調達・購買業務のBPOについて詳しく知りたい人、BPOの導入を検討している人に向けて、BPOの概要やメリット・デメリットなどについて解説します。
BPOとは「ビジネス・プロセス・アウトソーシング」の略で、業務を外部委託するアウトソーシングの1つを指します。
企業がBPOを導入する目的のほとんどは、業務効率を上げ、生産性を向上させるためです。外部委託の対象となる業務は、定型化しやすい業務から専門性が必要な業務まで多岐にわたります。例としては、人事や研修、コールセンター、請求書の発行、情報システムの開発などです。
調達・購買におけるBPOは、資材や備品、消耗品など必要な物品を取り揃えるための一連の流れを外部に委託できるサービスです。具体的には、供給先の選定や見積書の依頼、価格交渉、在庫管理、請求書処理などがあります。
BPOを活用することで、圧迫しがちな細かな業務への対応が必要なくなり、コア業務に集中できるようになります。
調達について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
「調達業務とは?基本的な業務内容や必要スキル、業務効率化する方法について解説」
深刻な人材不足に悩む企業は多く、業務内容の見直しが求められています。人材不足の解消に取り組むため、働き方改革や業務プロセスのデジタル化はもちろん、BPOといったアウトソーシングの活用を検討する企業が多くなっています。そのため、BPOの市場規模は拡大傾向です。
一方で、国内の調達・購買部門については、BPOの導入が思うように進んでいません。理由として、以下が挙げられます。
1つずつ見ていきましょう。
まずベンダーであるBPOサービスの提供側に調達・購買部門の経験者が少ないことが進まない理由の一つです。
ベンダー側に購買業務経験がない場合、導入企業側の悩みや課題に寄り添えません。定型的な提案しかできず、導入しても大きな効果が感じられないと考えるため、導入が進まないのが現状です。
BPOの導入が進まない理由として、調達・購買業務の担当者自身が必要性を感じていないことも挙げられます。
調達・購買業務は、長期間同じ人が担当しているケースが多いです。問題なく業務が回っていれば、改善の意識が働かないことやこれまでのノウハウを手放し、仕組みを一新することに対する抵抗感から、BPOの導入に踏み込めなくなっているのでしょう。
前述した通り、担当者が限定された状態はブラックボックス化しやすく、業務プロセスが曖昧になっているケースが多いため、BPOの導入が進まないのが現状です。
ブラックボックス化していると、企業上層部が購買活動にBPOが必要かどうかの判断が難しく、導入するべきか分からないでしょう。担当者自身も業務プロセスが曖昧であるため、外部に委託する部分の線引きができないまま時間が経過していることがあります。
アウトソーシングにはいくつか種類があり、BPOもその一種ですが、いずれにせよ業務を外部に委託する点は同じです。ただ、BPOとアウトソーシングの違いは、外部に委託する業務範囲の広さと期間の長さにあります。アウトソーシングは業務の一部分を切り出し、一時的な委託に留まります。
一方でBPOは、メインで委託する業務以外の工程も合わせた広範囲の業務を継続的に委託する点が特徴です。そのためBPOにおいては、ノウハウを持っていない業務やノンコア業務をメインに外注し、業務を効率化している企業が多い傾向にあります。アウトソーシングにはいくつか種類があり、BPOもその一種ですが、いずれにせよ業務を外部に委託する点は同じです。ただ、BPOとアウトソーシングの違いは、外部に委託する業務範囲の広さと期間の長さにあります。アウトソーシングは業務の一部分を切り出し、一時的な委託に留まります。
一方でBPOは、メインで委託する業務以外の工程も合わせた広範囲の業務を継続的に委託する点が特徴です。そのためBPOにおいては、ノウハウを持っていない業務やノンコア業務をメインに外注し、業務を効率化している企業が多い傾向にあります。
企業の調達・購買業務にBPOを導入するメリットには、以下の3つが挙げられます。
ここでは、上記3つのメリットについて1つずつ解説します。なお、BPOを活用するメリットについては、こちら の記事もご覧ください。
BPOの導入メリットとして、コア業務に集中できることが挙げられます。コア業務とは、企業の利益に直接つながる業務のことです。主に型が決まっていない業務や専門性の高い業務が含まれ、営業や製造業務などが該当します。
一方で、企業の利益に直接的につながらない、コア業務を支援する業務はノンコア業務と呼ばれています。ノンコア業務をBPOサービスで行うことで、貴重なリソースをコア業務に集中でき、生産性の向上が期待できます。
なお、コア業務とノンコア業務については、こちら の記事で詳しく解説しています。
BPOサービスを提供する企業は、複数社の業務を担当しているため、ノウハウを蓄積しています。業務を遂行するための高い専門性を持っているため、BPOの導入で業務を単純化し、より効率的な運用に改善することが可能です。
ブラックボックス化により非効率になっている業務も、BPOの導入をきっかけに明確化する場合もあるでしょう。業務の見直しが進み、BPO導入した業務以外でも改善が促されます。
また、法令遵守の観点からも外部に委託できると安心です。法改正の解釈を間違えると、コンプライアンスに反している企業だと疑われてしまうかもしれません。その点、専門知識を持つBPOサービスの企業に任せられれば、正確な対応が可能です。
調達・購買業務のBPOサービスでは、複数の業者間で価格を比較して物品ごとに仕入先を検討するため、物品のコストを抑えられます。自社での比較検討では業者が偏りがちですが、BPOサービス企業は取引先も多いため選択肢が広がり、より低価格での調達を実現できるでしょう。
また、人件費削減の面からもコスト削減に寄与します。物品の選定や仕入先の検討、請求書処理などにかかっていた時間を外部への依頼で削減できるためです。
加えて、人件費は固定費に当てはまりますが、外部委託する場合は変動費になります。固定費は売上が落ちた際に調整が難しい側面がありますが、変動費に変わると売上に応じて調整しやすくなるでしょう。さらに、外部に委託すれば、調達・購買業務の人材を社内で育成する必要がなくなり、その分の人件費も削減できます。
企業の調達・購買業務に対するBPO導入は、メリットばかりではありません。主なデメリットとしては、以下の3つがあります。
BPOの導入におけるデメリットとして、初期費用や運用のための継続的な利用料がかかる点が挙げられます。前述の通り、BPO導入には調達コストや人件費といったコストの削減効果がありますが、導入費用も相応に必要です。
そのため、BPO導入にかかる費用と長期的に削減できるコストを比較し、導入を検討することが大切です。また、導入費や利用料が無料のサービスもありますので、金額に応じて検討してもよいでしょう。
BPOは、外部に業務を委託する関係上、企業情報や個人情報を委託企業に渡す必要があります。そのため、情報漏洩のリスクがないとは言い切れません。
通常、BPOサービスの提供企業は、セキュリティ対策の基準が高いことがほとんどです。しかし、中にはセキュリティ面が軟弱な企業もあるため、よりセキュリティを意識し、体制を整えている企業を選ぶ必要があります。特にISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)など、セキュリティに関する認証を取得している企業を選ぶと安心でしょう。
調達・購買業務のノウハウが自社に蓄積されにくいこともBPO導入のデメリットです。業務の大部分を外部に依頼することでコア業務に集中できる一方で、依頼期間が長引くほど内製化するのは容易ではありません。
たとえば、事業の縮小によりサービスを解約した場合やBPOを提供している企業が倒産した場合、内製化するために人材を集めて組織を組み直したり、人材を育てる必要があったりと、元の運用に戻すのに時間やコストがかかります。
サプライヤーの選定や稟議書作成などのノウハウが社内に引き継がれないことは、念頭に置いておく必要があるでしょう。
企業によっては調達・購買業務を効率化するために、BPOサービスよりも購買管理システムの導入の方が有効的な場合があります。購買管理システムとは、サプライヤーの選定から請求までを管理するシステムのことです。
外部委託により自社にノウハウが蓄積されにくいBPOに対し、購買管理システムは自社で運用するため、調達・購買業務の効率化を実現しつつノウハウも蓄積できます
また、調達・購買業務がブラックボックス化している企業も購買管理システムを活用することで、業務フローが明確になり、業務効率化を実現できます。Web上で管理できるため、スピーディーな情報共有はもちろん、属人化やミス、不正の防止にも役立つでしょう。
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国内企業における調達・購買のBPOサービスは、導入が進んでいないのが現状です。しかし、BPOサービスには、生産性の向上や業務効率化の実現、コスト削減など多くのメリットがあります。自社の調達購買業務に関する課題をもとに、導入費用や今後の社内方針を加味しながら導入を検討するとよいでしょう。
ただ、調達・購買業務を効率化できるのはBPOサービスだけではありません。購買管理システムを導入することによっても調達・購買業務の適性化が実現できます。ビズネットの「購買管理プラットフォーム」では、調達・購買業務におけるコスト削減や業務効率化が可能です。
商材の選定や見積り依頼、請求書処理などの工程を大幅に削減し、コア業務に時間や人材を集中できます。加えて、多くのサプライヤーから商品を比較検討できるほか、業務フローも明確になるため、業務の無駄を省きミスや不正を防ぐことが可能です。
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この記事の監修者
ビズネット株式会社
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