製品製造の上流工程から携わる開発購買は、購買コストを削減できる重要な取り組みとして注目されています。

今回は、開発購買の概要や注目されている背景を紹介した上で、開発購買が上手く進まない4つの理由や、購買・調達部門の役割と必要なスキルについて解説します。

併せて、開発購買の成功事例についても具体的に紹介するので、これから開発購買に取り組みたい方はぜひ参考にしてください。

開発購買とは

開発購買は、企業が新製品を作る際にコストダウンを図れる取り組みです。以下の項目では、開発購買の概要と、注目されている背景について紹介します。

開発購買の概要

開発購買とは、企業における新製品の開発段階から購買・調達部門が戦略的に関わる取り組みのことです。購買・調達部門が上流工程のプロセスから携わることで、コストダウンに向けた購買活動を社内外と連携しながら初期段階から行える利点があります。

特に製造業における製品コストは、企画・開発段階で決まることが一般的です。開発購買に取り組むことで、調達で発生し得る課題を早い段階で明確化し、サプライヤーと協業しながら目標コストの実現に向けて取り組むことが可能です。

開発購買における購買・調達部門は、基本的にサプライヤーの技術情報や過去の見積もり価格との比較、量産時の仕入価格に関するサプライヤーとの調整などを通じて、コスト削減に取り組む役割を担います。

開発購買が注目されている背景

開発購買が注目されている背景として、昨今は多様化するユーザーの価値観やライフスタイルのニーズに応えるために、製品はもとより搭載する機能の種類が増え、調達品が多品種化していることが関係しています。調達品が多品種化したことで発注額が頭打ちとなり、交渉を主体とするコストダウンでは太刀打ちしづらくなっているのです。

また、製品のライフサイクルの短命化に伴い、市場での入れ替わりが早まっている中で、量産開始時点で高い完成度の製品を市場に送り出せる開発購買の必要性は増しています。いまや購買コストを削減するには、開発・設計段階まで目を向けて包括的に取り組む必要があるのです。

しかし、新製品におけるコストの最小化を目的とした開発購買を効果的に実行するのは難しいとされているため、上手く進まない理由を事前に把握しておくことが大切です。

開発購買が上手く進まない4つの理由


開発購買が上手く進まない理由として、主に以下の4つが挙げられます。

  1. 上流段階から購買部門が参画できていない
  2. 購買に関するデータが可視化できていない
  3. 開発購買に割けるリソースがない
  4. どの部門が主体となるか明確でない

上記の課題を解消できれば、自社の開発購買をスムーズに実行することが可能です。それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

1.上流段階から購買部門が参画できていない

開発購買を成功させるには、上流工程である開発段階から購買部門が参画し、購買に関する情報を随時共有していく必要があります。購買の専門である購買部が開発段階から参画できていないと、QCDの高い調達部品やサプライヤーに関する情報を購買部門と開発部門の間で十分に共有できず、開発購買は上手くいかないでしょう。

また、開発部門や製造部門、購買部門では、「良い製品」に対する定義がそれぞれ異なります。一般的に開発部門における良い製品とは、市場で技術的に差別化できる製品です。一方、購買部門における良い製品とは、低コストの調達部品を搭載し、自社にとって収益性が高い製品を指します。

そのため開発購買に携わる購買部門は、他部門が追求する製品の理想と擦り合わせながら、品質とコストのバランスを考慮した購買管理や仕入先の選定が不可欠といえるでしょう。

2.購買に関するデータが可視化できていない

購買に関するデータを可視化できていないことも、開発購買を上手く進められない理由の一つです。具体的には、過去の購買に関するデータをアナログ的に管理しているケースや、ベテランの購買担当者のみが情報を得ているだけで企業のノウハウが蓄積できていないケースが挙げられます。

また、購買部門が「ただ必要な物を購入するだけの部門」へ陥っている場合も、開発購買の実現を妨げてしまいます。開発購買を行う上では、発注の実績以外にも、サプライヤーの選定方針や、サプライヤー同士の比較結果などさまざまな情報が必須です。

購買に関するデータの可視化や有効なデータの蓄積を促すためにも、購買活動の属人化を解消し、購買部門が本来の役割を全うできるように整備することが重要といえるでしょう。

3.開発購買に割けるリソースがない

一般的に、製造業は調達品目が他の業界と比べて多く、購買部の業務負担が大きくなりやすい傾向にあります。特にサプライヤーとのやり取りをアナログ的に行っている場合は、通常の購買業務だけで手一杯となり、開発購買に割けるリソースを確保できないケースが少なくありません。

また、開発購買を実行するにあたり、製造部やサプライヤーとの連携も不可欠です。通常業務でリソースを使い果たしている場合は、業務効率化を図り、社内外の関係者と十分なコミュニケーションを取れるように改善しなければなりません。

そこで製造業の購買活動における効率化に向けて、一元的な管理やデータの可視化を実現できる「購買管理システム」を導入するのもおすすめです。購買管理システムの詳細を知りたい方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
【製造業向け】購買管理システムの選定方法|製造業における購買業務の特性をもとに解説

4.どの部門が主体となるか明確でない

開発購買に取り組む際は、製造部門と購買部門が一体となって進めていくことが重要です。ただし、どの部門が主体となるのか明確でないと、コスト意識の欠如につながり、上手く進められないケースがあるので注意しましょう。

企業によっては、開発購買の舵を取る専門の「開発購買チーム」を結成する場合もありますが、本来の購買活動に携わる場面が少ないことによりタイムリーな情報を取得できず、上手く機能しないケースも少なくありません。

そのため、開発購買は進行を担える部門を見極め、どの部門が主体的に進めるかを明確にした上で取り組む必要があるでしょう。

開発購買における購買・調達部門の役割と必要なスキル

続いて、開発購買における購買・調達部門の役割と必要なスキルについて紹介します。調達業務の詳細については、以下の記事もご参照ください。
調達業務とは?基本的な業務内容や必要スキル、業務効率化する方法について解説

原価企画の段階で提言する

原価企画とは、製造する製品の企画段階で原価を管理して見積もることを指します。前述のとおり、製造業におけるコストは企画・開発段階で決まる傾向にあるため、購買部門が原価企画に関わり適切な提言を行うことで、スムーズなコストダウンを実現しやすくなります。

原価企画の中でも目標原価に向けて原価低減に取り組む工程では、部品調達にあたり「内製・外注のどちらを選ぶか」「品質基準はどうするか」などのポイントを多角的に検討しなければならないため、サプライヤーの技術情報が必須です。購買部門では、サプライヤーの技術情報を蓄積しているため、製品にかかるコストを最小化して価値の最大化を図る「VE(バリューエンジニアリング)」の観点でも貢献できるでしょう。

なお、購買部門が原価企画の段階で適切な提言をするためには、各資材の市場動向をタイムリーに把握するスキルや、社内との連携を強化するコミュニケーションスキルが必要です。

サプライヤー・マネジメントを強化する

サプライヤー・マネジメントとは、提携するサプライヤーのさまざまな情報をもとに評価し、自社の購買活動へ活かしていくことを指します。目標原価の達成に向けて取り組むには、サプライヤー・マネジメントの強化が必須といえます。

たとえば、サプライヤー・マネジメントを強化できていない場合、量産体制時にサプライヤー側の要因による不良やスケジュールの遅れが発生して、自社が損失を被る可能性があります。

適切なサプライヤー・マネジメントを実行するには、自社との信頼関係を構築することが重要であるため、購買・調達部門には社外に向けたコミュニケーションスキルが求められるでしょう。

開発購買の成功事例

開発購買を実行するのは難しいとされていますが、成功事例も多数あります。以下では、トヨタ自動車株式会社とサムスン電機の成功事例を紹介します。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社は1937年に創立された自動車メーカーで、多様な車種の開発・製造・販売を行う自動車事業や、試験車両の開発に取り組んでいます。同社では、創業当初から開発購買が根付いているといわれており、エンジニアが主体的に原価企画活動に携わっていることが特徴です。

原価企画活動の具体的なポイントとして、同社では各部品の原価を絶対値としてベンチマーク推計し、目標原価を設定する取り組みを推進しています。この取り組みにより、目標コストを理論的に算出できるため、開発部門と調達部門の間で合意を得やすい体制作りに成功しています。

また、「良品廉価な製品をユーザーへ届ける」という理念を全社的に共有できている企業体質の構築も、同社が開発購買に成功している理由の一つといえるでしょう。さらにトヨタ自動車株式会社では、世界最安値を目指すチームとして各種の委員会も有効に機能しています。

サムスン電機

サムスン電機は1973年に設立された韓国の電子部品メーカーです。同社では、2012年に海外法人の購買組織(IPC)の役割を変更し、新規サプライヤーの技術探索をメインとする開発購買専門の組織へと成り代わっています。海外にあるIPCは本社購買と協業関係にあり、社内ネットワークによる技術・情報の共有や、調達業務のサポートなどを柔軟に行える組織として機能しています。

同社では、半導体次世代パッケージング技術「FOPLP」の開発で、新たな材料・技術を新規探索するにあたり、日本IPCを活用しています。日本IPCは、さまざまな半導体材料メーカーから得た情報を整理した上で開発エンジニアへと共有し、スムーズな比較検討を実現させました。

サムスン電機の成功事例からは、技術的な知見を持つ購買組織が上手く機能すれば、市場やサプライヤーに関する多くの情報を迅速に収集し、開発を的確に支援できることがわかります。

購買管理システムの導入で開発購買の実現を!

調達品の多品種化や市場の流動性の高まりを受け、開発購買の必要性は増しています。しかし、「購買に関するデータを可視化できていない」「開発購買に割けるリソースがない」といった理由で、開発購買を実現できていない企業が多いのも実状です。

効果的な開発購買を実現するために購買データの可視化や人員リソースの確保を行う際は、購買管理システムの導入を検討するのもおすすめです。

ビズネットの「購買管理プラットフォーム」なら、購入明細データや各種レポートなどの購買情報を可視化できるほか、請求処理等の一元管理や経理システムとのデータ連携によって業務効率化が可能となり、その結果生まれたリソースを開発購買に回すことができます。

導入から運用までワンストップ体制でのサポートも充実していますので、開発購買の実現に向けて取り組みたいという方は、ぜひ導入をご検討ください。

この記事の監修者

ビズネット株式会社

受発注の業務改善によって顧客サービス向上と新たなビジネスの展開を支援する「購買管理プラットフォーム」を14,000社以上の企業に提供しています。電力、電設、建設・医療・製造などの現場専門品の購買業務を最適化し、業務やコスト削減・生産性向上を実現いたします。

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