2社購買は、原価の高騰や、サプライチェーンの寸断リスクなどに備えるために有効な購買手法です。特徴やメリット・デメリットを把握して、自社の購買業務に取り入れるべきかをしっかりと検討することが大切です。
今回は、2社購買の概要を紹介した上で、2社購買を実施するメリット・デメリットについて詳しく解説します。併せて、企業が使えるその他の購買手法などについても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
2社購買とは、原材料や部品を調達する際に、1社のサプライヤーではなく、2社以上のサプライヤーから購買する手法のことです。たとえば、海外メーカーから部品を仕入れている場合、地政学リスクといった「サプライチェーンリスク」に対応するために、国内メーカーからも部品を調達するルートを確保すればリスクを分散することが可能です。
一方、1社のみと購買取引をしている場合は、地政学リスクの高まりとともに必要な部品を調達しづらくなる可能性もあります。資材を安定的に調達するためにも、2社購買は重要な購買手法といえるでしょう。
サプライチェーンリスクについては、以下で詳しく解説しています。ぜひご参照ください。
「サプライチェーンリスクとは?リスクの種類や具体的なマネジメント方法」
2社購買を実施することには、以下の3つのメリットがあります。
それぞれのメリットについて、詳しく紹介します。
1社購買では、原価を下げるように交渉してもなかなか応じてもらえないケースがあります。そこで2社購買に取り組むことで、サプライヤー間の競争意識が高まり、価格交渉がスムーズに行える可能性が高まるでしょう。
ただし、価格交渉など原価削減の取り組みに協力的なサプライヤーである場合は、無理に2社購買にする必要はありません。
なお、無理な価格交渉を行うとサプライヤーの利益率が下がってしまい、自社との関係性が悪化する上、下請法などに抵触するリスクがあるので避けましょう。たとえば、大量発注を前提としている取引単価を、少量の発注にも適用した場合、下請法や独占禁止法に違反するおそれがあります。
サプライチェーンが寸断された場合、原材料や部品の調達が間に合わず、自社製品の出荷納期が遅れてしまいます。そもそもサプライチェーンとは、製品の原材料・部品の調達から、販売までの一連の流れを表す言葉です。
「サプライチェーンとは?簡単に言うと?概要や具体例について徹底解説」
2社購買に取り組むことで、自然災害によるサプライチェーンの寸断といったリスクを抑えて、安定的な製品の供給体制を構築できるでしょう。国内では、2011年の東日本大震災がサプライチェーンに大きな影響をもたらしたことで、2社購買を検討する企業が増加したとされています。
2社購買を導入していれば、自然災害や地政学リスクによってサプライチェーンが寸断するリスクなども最小化できます。
2社購買に取り組むことで、複数のサプライヤー商品の価格・品質・納期などを比較できるメリットがあります。常に自社の購買において最良な商品を選ぶ体制を構築しておくことで、サプライヤーに対する優位性を高められるでしょう。
また、適切な価格取引を行うためにも、既存サプライヤーのみと取引するのではなく、新規サプライヤーを積極的に開拓することも重要です。新規サプライヤーを開拓しておけば、自社にとって有利な価格・納期で資材を提供してくれるサプライヤーを選定しやすくなります。
サプライヤーとは?簡単にわかるメーカー・ベンダーとの違いや各業界におけるサプライヤーの具体例
2社購買を実施するメリットは大きいものの、以下のようなデメリットもあります。
2社購買を自社で運用するかを検討するためにも、デメリットをしっかりと確認しておきましょう。
既存サプライヤーのみと取引していた状況から、2社購買に切り替えるとサプライヤーとの信頼関係が揺らぐ可能性があります。同一の商品を2社以上のサプライヤーから購入する場合、1社あたりの購入数量も減ってしまうでしょう。
生産能力といったリソースの確保について、対象のサプライヤーとあらかじめ協議した上で、2社購買の仕組みを導入すべきか否かをしっかりと検討する必要があります。
また、平常時の購買ルートのほか、非常時の購買ルートがどうなるのかという点もシミュレーションしておきましょう。たとえば、海外のサプライヤーから部品を調達している場合、日本や他国のサプライヤーにも目を向けることで、非常時の購買リスクを低減できます。
2社購買を行うことで、サプライヤーとの交渉や協力体制の構築、管理、監査などに1社購買以上の業務コストがかかる点には注意しなければなりません。たとえば、原価の削減を目的としている場合は、2社購買に取り組むことで発生する業務コストと比較した上で、導入を検討する必要があります。
前述のとおり、2社購買を行う目的が適切な価格のみの場合、適切な価格交渉などにサプライヤーが応じてくれるのであれば、2社購買を無理に導入する必要はないでしょう。
また、製造業の場合は、2社のサプライヤー間で製品スペックが共通化できていないと、製造設備の段取り替えといったコストが発生するケースもあるので留意しておきましょう。
2社購買によって同一の製品を仕入れているようでありながら、実質的には製品の棲み分けが行われているケースがあるので注意が必要です。たとえば、同じ資材であっても、サイズや仕様に差があり、サプライヤー間の共通化ができていない場合があります。
この場合、別の資材を購買していることと同義のため、仮にサプライチェーン上のリスクがあっても即座に対応できないおそれがあります。
汎用性の高い資材であれば、サプライヤーの流動性を高めることで、見かけだけの2社購買に陥るリスクを低減できるでしょう。資材の特性や自社のニーズに応じて、2社購買の導入を検討することが大切です。
企業が使える購買手法は、2社購買以外にも「集中購買」や「分散購買」があります。以下では、2つの購買手法について詳しく解説します。
集中購買とは、企業が購入する資材を本社が一括発注する手法のことです。集中購買に取り組むメリットは、1回あたりの発注数量が多くなることでボリュームディスカントが利きやすくなる点です。
また、各事業所で都度発注することによる非効率な購買処理を行わずに済み、人的コストの削減につなげられることもメリットといえます。特に消耗品や工具といった「間接材」は、サプライヤーや品目の管理が複雑化しやすいため、集中購買を導入することで業務効率化できる効果が期待できます。
一方で、集中購買には、各事業所で必要な資材の数量や要望の取りまとめに時間がかかりやすいというデメリットもあります。とはいえ、購買環境の改善に向けて取り組む効果は大きいでしょう。
「集中購買のシステム化で購買のコストダウンを実現!集中購買の概要や分散購買との違いも紹介」
分散購買とは、各事業所で必要な資材を発注する手法のことです。分散購買に取り組むメリットとして、各事業所のニーズに応じて柔軟に発注できるため、タイムラグが原因で資材が不足するといった状況を避けやすい点が挙げられます。
しかし、1回あたりの発注数量が少なく、サプライヤーに対して価格交渉などを行いづらい点はデメリットといえます。また、資材の種類・数量が事業所によって異なる場合、コストの均一化を実現しづらいことも分散購買のデメリットです。
集中購買とは対照的な購買手法であるため、どちらの購買手法が自社に適しているのかをしっかりと見極めましょう。
購買管理の最適化を目指すのであれば、「購買管理システム」の導入がおすすめです。購買管理システムの特徴は、取引先情報の管理や購買履歴、注文書などの作成をシステム上で行えることです。
また、購買業務をペーパーレス化できるため、集中購買に取り組む場合の事務作業などに時間と手間を取られなくなります。さらに、購買業務の効率化や一元管理によって、購買コストの大幅な削減につながる可能性もあります。
なお、購買管理システムを選ぶ際は、自社の課題解決に向いているか、実績が豊富にあるかという点をチェックしましょう。
購買管理システムの概要や種類、メリット・デメリットを詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事をご参照ください。
「購買管理システムとは?企業における必要性やシステムの種類、メリット・デメリットなどを徹底解説!」
購買管理に適したシステムをお探しの方には、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」がおすすめです。「購買管理プラットフォーム」は、14,000社以上の企業様に導入いただいている実績があるシステムで、以下のような特徴があります。
上記のとおり、自社の課題に合わせて活用できる機能が豊富にそろっていることが「購買管理プラットフォーム」の魅力です。購買管理の改善に取り組みたい方は、ぜひ導入をご検討ください。
2社購買に取り組むことで、原価の削減やサプライヤーに対する優位性の確立といったメリットが期待できます。ただし、見かけだけの2社購買に陥らないようにするためにも、自社に導入する購買手法として適しているのかをしっかりと確認しておきましょう。
ビズネットの「購買管理プラットフォーム」を導入すれば、30以上のサプライヤーと繋がっているため、5,000万点以上の商品の中から最安値商品をスムーズに検索可能で、会員様向けディスカウント価格でのサプライヤー商品の購入なども可能です。導入から運用までワンストップでのサポート体制も整っているので、購買管理の改善に向けて動き出したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
ビズネット株式会社
受発注の業務改善によって顧客サービス向上と新たなビジネスの展開を支援する「購買管理プラットフォーム」を14,000社以上の企業に提供しています。電力、電設、建設・医療・製造などの現場専門品の購買業務を最適化し、業務やコスト削減・生産性向上を実現いたします。
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