原材料・部品などを海外調達することで、コストを削減できるメリットが見込まれます。ただし、海外調達にはデメリットや注意点もあるため、それらのリスクを事前に把握したうえで取り組むことが重要です。
今回は、海外調達の概要やメリット・デメリット、海外調達を実行するときのフローなどを紹介します。さらに、海外調達に取り組む際の注意点も解説するので、調達業務の見直しや改善を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
海外調達とは、企業が必要な原材料・部品などを海外から調達する方法を指します。近年では、サステナビリティへの意識の高まりから、海外調達を推進することで、環境負荷を低減できるメリットが注目されています。
企業にとっては、調達コストの削減や製品の品質向上のメリットに加えて、海外市場への参入のきっかけにもなるので、大きなビジネスチャンスとなるでしょう。
ただし、国内調達とは異なる課題が存在するため、海外サプライヤーの慎重な選定や、自社の調達体制の整備が不可欠です。
近年、日本企業におけるグローバル化が加速していることもあり、海外調達の動きが活発化しています。企業が海外調達に精力的に取り組むことで、国内で不足している資源を安定的に確保できるでしょう。製造業によっては、海外からの輸入に依存している原材料・部品も少なくありません。
また、海外拠点で部品を生産して、輸入したうえで日本の工場で最終的な組み立てや加工を行い、メイドインジャパンの製品として販売するケースもあります。
ただし、取引する国によって商習慣やルールが異なるため、事前調査が必要です。国内調達と同じ感覚で海外調達を行うと、契約書の内容を誤解したり、納期に間に合わなかったりと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
ここでは、海外調達に取り組むメリットを2つ紹介します。
日本よりも物価や賃金が安い国で部品・製品を調達することで、調達コストを大幅に削減できるメリットがあります。また、事業の規模・内容によっては生産拠点を海外に置き、現地調達を行うことによってコスト低減も見込めるでしょう。
近年は、多くの企業が海外におけるサプライチェーン構築や、現地調達・生産に取り組んでいます。海外ならではのメリットを活かして、コスト削減に向けた取り組みを強化することで、競争力を高められるでしょう。
製品のサプライチェーンにおいて、材料や資源を安定供給できる体制を確立することは重要です。特に近年は、カーボンニュートラルの取り組みやデジタル化に伴い、再生可能エネルギー発電の構成部品、及び電子機器に必要な鉱物の需要が高まっています。
海外調達を利用すれば、日本では入手しづらい希少な資源も、スムーズに確保できるでしょう。国内で必要な材料・資源の確保が困難な場合は、一部でも海外調達を検討してみるとよいでしょう。
海外調達に取り組む際は、デメリットもあることを把握しておきましょう。
海外で製造した部品には、日本の品質基準でNG判定となる汚れやキズが付いている場合があるので注意が必要です。品質に関する捉え方が異なることもあるため、見積もりの段階で十分にコミュニケーションを取ることが重要です。
また、小ロットでは問題がなくても、量産体制になると検査が十分に行われず、品質不良の部品が混入してしまう可能性もあります。
なお、欧州には有害物質の使用を制限する「RoHS(ローズ)指令」といった規制もあります。海外調達を行う際は、このような国で定められた規制の有無も把握しておきましょう。
海外調達では、物流や通関において国内調達とは異なるプロセスを踏むため、納期遅延のリスクが高まります。具体的には、「船舶輸送に2~3週間かかる」「関税の処理に遅れが生じる」といったリスクが挙げられます。
また、生産・物流が日本と比べて厳密に管理されていないケースも多くあります。そのため、早急に部品を調達する必要がある場合、海外調達は適していないでしょう。
このように海外調達に向いているかどうかは、自社が取引している資材やニーズによって異なります。デメリットを十分に考慮したうえで、自社に合った最適な調達方法を選ぶことが重要です。
海外調達以外にも、購買コストダウンの手法はいくつかあります。下記の記事で詳しく解説しているので、粗利益率の向上を目指している方はぜひ参考にしてください。
購買コストダウンの手法一覧|購買コストを削減したいと考えている企業に向けて一挙紹介
海外調達を実行するときのフローは、以下のとおりです。
各フローについて、詳しく確認していきましょう。
まずは、自社に最適なサプライヤーを開拓するところから始めましょう。価格だけではなく、言語や文化の違いもあるため、コミュニケーションが取りやすいかどうかも考慮して選定することが大切です。
また、複数のサプライヤーを確保しておくことで、海外調達におけるリスク低減にもつながります。
次に、サプライヤーから提供された見積もり価格を比較し、必要に応じて価格交渉を行いましょう。提示された時点の為替レートや輸送コスト、納期といった要素を総合的に評価したうえで、価格交渉を行うかを判断します。
実際に価格交渉を行う際は、「簡潔なビジネス英語でメールのやり取りをする」「決裁権を持つ関係者が関わる」といったポイントを押さえることで、スムーズな交渉につながります。
調達・購買部門は、海外サプライヤーから調達した資材を管理する部門と連携して、スケジュールを調整しましょう。生産計画を考慮して、現状の納品スケジュールで問題ないかを確認することが大切です。
他部門との調整によって確定したスケジュールに合わせて、海外サプライヤーに資材を発注しましょう。発注するタイミングによっては、見積もり段階で海外サプライヤーが提示した納期での対応が難しくなり、スケジュールの変更が発生する可能性もあります。
資材が納品された後は、品質や個数のチェックを行い、問題ないことを確認しましょう。
仕入れた資材の入出庫・在庫の管理を行います。それぞれの管理におけるポイントは、以下のとおりです。
管理 | ポイント |
入庫管理 | 資材を保管する倉庫や保管方法を決める |
在庫管理 | 在庫の適切な把握や、発注データ・市場動向を踏まえた発注を行うほか、品質管理も実施する |
出庫管理 | 保管している資材をスムーズに出庫する |
上表のポイントを押さえて、入出庫・在庫の管理を行いましょう。なお、購買管理の効率化には、購買管理システムの導入が有効です。購買管理システムの導入メリットやデメリットについては、下記の記事で詳しく解説しています。
購買管理システムとは?企業における必要性やシステムの種類、メリット・デメリットなどを徹底解説!
なお、購買管理に関する基礎知識やシステム選定の際のポイントなどをまとめたホワイトペーパー「購買管理の始め方ガイド」は以下よりダウンロードできますので、ぜひご利用ください。
▼「お役立ち資料 購買管理のはじめ方ガイド」ダウンロードはこちら
https://www2.biznet.co.jp/seminar/ebook01/
ここでは、海外調達に取り組むうえでの注意点を紹介します。
海外のサプライヤーは、国内のサプライヤーとは異なる交渉スタイルや商慣行を持っています。そのため、国内調達と同じような仕方で交渉や取引を行おうとすると、取引先にネガティブな印象を与えたり、意思疎通のミスによって遅延が発生したりしてしまう可能性があります。
なお、海外調達を円滑に行うには、英語をはじめとした現地語に精通している人材を確保することが不可欠です。自社の負担が大きい場合は、海外調達の目的や必要性を再度検証して、ほかの方法も検討しましょう。
海外調達では、為替レートの変動リスクがあることを考慮しなければなりません。現状では物価や人件費を抑えられている国であっても、将来的に経済成長を遂げて為替レートが変動し、調達コストが高騰する可能性があります。
為替レートが円安方向に変動した場合、海外調達によるコスト低減の恩恵が薄まり、かえって国内調達よりもコストが高くなってしまうおそれもあります。
前述のとおり、海外調達は一定のデメリットや注意点を踏まえたうえで取り組む必要があります。自社の事業の規模や内容によっては、海外調達のハードルが高いケースもあるため、まずは国内調達における効率化でコストダウンなどを図ってみるのも手です。
調達業務の効率化を実現できるシステムとして、「購買管理システム」があります。購買管理システムの主な特徴は以下のとおりです。
上記のとおり、購買管理システムでは調達業務を一元管理できるほか、カタログ購買機能の利用なども行えるため、調達業務を効率化してコストダウンを目指せるでしょう。
購買管理システムの選択肢としておすすめなのが、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」です。「購買管理プラットフォーム」は、ITトレンドの購買システム部門で年間ランキング1位を獲得するなど、注目度が高いサービスです。
「購買管理プラットフォーム」を導入することで、以下のようなメリットが見込まれます。
上記のとおり、「購買管理プラットフォーム」を導入することで、最安値商品の横断的なワンクリック検索や、全社ガバナンスの強化を行えます。自社の購買業務を効率化するうえで、大いに活用できるでしょう。
海外調達には、材料・資源を確保できるといったメリットがある一方、「品質管理のハードルが上がる」「納期遅延のリスクが高まる」といったデメリットもあります。自社が取引している資材やニーズによって海外調達の必要性は変わるため、実際に取り組むかどうか慎重に検討することが大切です。
調達業務の属人化や、非効率的な業務による担当者の負担など、課題を抱えている方は、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」の導入をぜひご検討ください。当システムなら、5,000万品目以上のサプライヤー商品のディスカウント価格による購入が可能で、自社のルールに合わせた運用・承認設定なども行えます。導入・運用に向けた手厚いサポート体制が整っていますので、まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
ビズネット株式会社
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