企業全体の業績やコスト、コンプライアンスに関わる「購買管理」。購買管理を最適化することで、コスト削減や業務効率化、コンプライアンスの遵守などにつながります。しかし、購買管理を行うにあたっては、業務フローの明確化が必須です。
この記事では、購買管理の基本的な業務フローを解説した上で、業務フローの作成方法について紹介します。また、業務フローの最適化につながる購買管理システムについても詳しく解説するため、ぜひ最後までご覧ください。

購買管理とは、企業が必要な商品やサービスを適切な価格とタイミングで調達するプロセスを体系化したものです。言い換えると、必要な資材を購入するにあたって「タイミング」「量」「品質」「価格」などをバランスよくコントロールするための施策といえます。
購買とは何なのかわからないという人は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
「購買とは?購買と調達の違い・具体的な業務内容も併せて紹介!」
ビズネットでは、購買管理の基礎知識を知りたい方に向けて、「購買管理のはじめ方ガイド」をご用意いたしました。購買管理の基本から業務フロー、さらにはシステム選定から導入によるメリットまで、段階的に解説しております。詳しくは、資料ダウンロードの上ご覧ください。「購買管理のはじめ方ガイド」
購買管理を適切に行うためには、「購買管理の5原則」の遵守が重要だと考えられています。概要は、以下のとおりです。
| 5原則 | 概要 |
| 1.適正な取引先の選定 | 取引先の実績や信頼性を確認し、長期的な取引関係を築ける業者を選択すること |
| 2.適正な品質の確保 | 商品やサービスの品質基準を設定し、準拠しているかを確認すること |
| 3.適正な数量の決定・確保 | 必要な数量をあらかじめ計画し、適切な量を確保すること |
| 4.適正な納期の設定・確保 | 取引先と明確な納期を設定し、遵守するための管理を行うこと |
| 5.適正な価格の決定・履行 | 市場価格や他の取引先の見積もりと比較して、適正価格での購入を決定して履行すること |
上記5原則を徹底できれば購買業務が最適化され、企業の業績や信頼性の向上につながります。

サプライヤーの選定後は、発注前に必ず契約書や取引基本契約を締結し、取引条件を明文化することが重要です。口頭での合意や見積書のみに依存した取引は、後々のトラブルや認識の齟齬を招く原因となります。
契約書には、価格や支払条件だけでなく、納期、品質基準、検収方法、不良品発生時の対応などを具体的に記載します。特に継続的な取引が見込まれる場合は取引基本契約を締結することで、個別発注の都度契約交渉を行う工数を削減できます。また、契約内容は法務部門や購買部門で一元管理し、更新時期や条件変更の履歴を記録しておくことが望ましいです。
発注完了後も、納品までの間に適切な納期管理と進捗フォローを行うことが重要です。特に生産計画に直結する部材や、プロジェクトの進行に影響する資材については、納期遅延が企業活動全体に大きな損失をもたらす可能性があります。
納期管理の基本は、発注時に確定した納期をシステムやスケジュール表で可視化し、定期的にサプライヤーへ進捗確認を行うことです。納期の1週間前や数日前などのタイミングで確認連絡を入れることで、遅延の兆候を早期に把握し、代替策を講じる時間的余裕を確保できます。長期納期の案件については、マイルストーンを設定して段階的に進捗を確認する方法が有効です。
商品やサービスが納品され、検収が終わった後に、サプライヤーから自社宛てに請求書が発行されます。請求書は法律上の発行義務はありませんが、取引があったことを証明する重要な書類です。サプライヤーに対して支払った証拠となる書類であるため、一定期間は保存しておく必要があります。
最後に請求書にもとづいて、サプライヤーへ支払いを行います。サプライヤーとの関係を健全に保つためにも、請求書の内容や支払い方法を遵守した上で支払いを行うことが重要です。特に支払いの遅れは、サプライヤーとの関係性を悪化させる可能性があるため注意しましょう。
支払い完了後も、納品された物品を適切に保管し、在庫を管理することが購買管理の最終段階として重要です。特に製造業や小売業においては、在庫の過不足が生産効率や販売機会に直結するため、体系的な在庫管理が求められます。
物品が納品されたら、まず保管場所を明確にし、適切な環境で管理します。在庫管理では、入庫・出庫の記録を正確に行い、常に現在の在庫数を把握できる体制を整えることが基本です。定期的な棚卸を実施して帳簿在庫と実在庫の差異を確認し、差異が発生した場合は原因を究明して改善策を講じます。さらに、在庫データを購買計画にフィードバックすることで、過剰在庫や欠品を防ぐことができます。
購買業務は一律のフローではなく、購入する物品やサービスの特性、金額、緊急性などによって最適なプロセスが異なります。企業の購買活動は主に「カタログ購買」「都度見積購買」「立替精算」の3つのパターンに分類でき、それぞれに適した業務フローを設計することが効率化の鍵となります。
カタログ購買は、文房具や消耗品など定型的な物品を購入する際に用いられるパターンです。あらかじめ契約済みのサプライヤーのカタログから商品を選び、購買依頼から発注までをシステム上で完結させることができます。このパターンでは見積取得やサプライヤー選定のプロセスを省略できるため、業務フローが大幅に短縮され、少額購買の効率化につながります。
都度見積購買は、設備投資や専門サービスの調達など、高額または特殊な購買案件に適用されます。購買依頼後に複数のサプライヤーから見積もりを取得し、価格や品質、納期を比較検討した上で発注先を決定します。このパターンでは承認プロセスも複雑になることが多く、稟議書の作成や複数段階の承認が必要となるため、業務フローには十分な時間的余裕を持たせることが重要です。
立替精算は、従業員が業務上必要な物品を一時的に自己負担で購入し、後日精算するパターンです。緊急時の少額購買や出張時の経費などがこれに該当します。このパターンでは事後承認となるため、購入基準や上限額を明確に定め、不正利用を防ぐための承認フローと証憑管理が不可欠です。領収書の提出や購入理由の記載を義務付けるなど、内部統制上の配慮が求められます。
自社の購買活動を分析し、それぞれのパターンに応じた最適な業務フローを設計することで、業務効率と統制の両立が可能になります。

適切な購買管理をするためには、自社の購買プロセスに則した業務フロー図を作成する必要があります。ここでは、購買管理における業務フロー図の作成手順について見ていきましょう。
フロー図を作成することで、購買業務の流れを視覚的に理解しやすくなるでしょう。
購買業務フロー図を作成する際は、担当部署と責任範囲を明確にし、誰がどの工程を担当するのかを一目で把握できる構成にすることが重要です。
また、業務の開始点と終了点を統一した基準で定義し、判断が分かれやすい例外処理もあらかじめフロー内に記載すると、現場での運用が安定します。
さらに、専門用語や略語を避け、誰が見ても理解できる表現に整えることで、部署間の認識のズレを防ぎ、効率的な運用が可能になります。

購買業務では、人的ミスや情報伝達の不備によってさまざまなトラブルが発生します。これらのミスを未然に防ぐためには、業務フロー上にチェックポイントや承認プロセスを組み込むことが有効です。
発注ミスは最も頻発するトラブルの一つです。発注数量の桁間違い、商品コードの誤入力、納期の記載ミスなどが該当します。これを防ぐには、発注前に複数名で内容を確認するダブルチェック体制を導入し、システム上でも数量や金額に上限アラートを設定することが効果的です。
見積もりと実際の請求額の相違も頻繁に起こる問題です。見積もり時には含まれていなかった送料や諸経費が請求書に記載されているケースや、為替変動による価格変更などがあります。これを防ぐためには、見積もり取得時に「総額」を明確にし、追加費用が発生する条件を事前に確認しておく必要があります。また、請求書を受領した際には必ず発注内容や見積書と照合するプロセスを業務フローに組み込みましょう。
検収漏れや遅延も深刻な問題です。納品された物品の検収を怠ったまま保管してしまうと、後日不良品が発覚してもサプライヤーへの返品や交換対応が困難になります。業務フローには納品後◯日以内に検収を完了させるルールを設け、リマインド機能を活用することで検収漏れを防止できます。
承認プロセスの遅延も業務停滞の原因となります。上長の不在や多忙により承認が滞ると、納期遅延や機会損失につながります。これを防ぐには、代理承認者の設定や承認期限の明確化、承認待ちアラートの自動通知などの仕組みを導入することが有効です。
これらのミスやトラブルは、業務フローの設計段階で予防策を組み込むことで大幅に削減できます。過去に発生したトラブル事例を分析し、再発防止のためのチェックポイントを業務フローに反映させることが重要です。
購買業務フローは一度作成したら終わりではなく、事業環境や取引条件の変化に合わせて定期的に見直すことが欠かせません。処理件数や承認遅延などのデータをもとに改善点を特定し、現場の実態とプロセスを常に一致させることが重要です。
また、担当者依存の作業を放置すると属人化が進み、ミスや引き継ぎトラブルの原因になります。定期的なレビューを通じて業務を標準化し、継続的に効率化を図ることが求められます。
購買管理を継続的に改善していくためには、購買活動に関するデータを記録し、定期的に分析する仕組みを業務フローに組み込むことが不可欠です。データに基づいた意思決定により、コスト削減や業務効率化の機会を見出すことができます。
記録すべき主なデータには、サプライヤーごとの購買金額、品目別の調達数量、納期遵守率、見積と実績の価格差異、不良品発生率などがあります。これらのデータを蓄積・分析することで、ボリュームディスカウントの交渉機会を見出したり、調達先の統廃合によるコスト削減を実現したりすることが可能です。また、サプライヤーのパフォーマンスを定量的に評価し、優良な取引先との関係強化や問題のある取引先の見直しにも活用できます。購買データの記録と分析を月次や四半期ごとに行う体制を整えることで、購買管理の継続的な改善サイクルが実現します。
ここでは、購買管理システムの概要や導入メリットについて解説します。購買業務の内部統制については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
「購買プロセスにおける内部統制の必要性|購買業務における不正リスクも紹介」
この記事の監修者
ビズネット株式会社
受発注の業務改善によって顧客サービス向上と新たなビジネスの展開を支援する「購買管理プラットフォーム」を14,000社以上の企業に提供しています。電力、電設、建設・医療・製造などの現場専門品の購買業務を最適化し、業務やコスト削減・生産性向上を実現いたします。
PAGE TOP