組織内で必要となる資材を確保する購買プロセスでは、購買業務の適性化や不正対策などを行うために内部統制を徹底することが欠かせません。
今回は、購買プロセスにおける内部統制の必要性を解説した上で、内部統制を徹底するために押さえるべきポイントを解説します。
また、適正な購買プロセスを実現できる購買管理システムについても紹介します。ぜひ参考にしてください。
購買プロセスにおいて内部統制が必要である理由は、購買業務の性質上、不正が起こりやすいためです。購買業務とは、事業で必要となる部品や原材料などの資材を計画的に購入することです。主にサプライヤーの選定や価格交渉、納入品の検収などを行います。
購買業務では企業のお金や必要資材を取り扱うことから、企業は各購買担当者に対して少なからずお金や資材を扱う権限を与えています。このため、購買プロセスの内部統制ができていない場合、権限と購買プロセスの脆弱性を利用した不正が起こりやすくなるのです。
購買業務に内在するリスクの代表例は、以下の3つです。
ここでは、それぞれのリスクの概要や、リスクが発生する理由などについて解説します。内部統制を適切に構築するためにも、まずは購買業務に関するリスクについて理解しておきましょう。
基本的に購買業務は一人または少人数で業務を遂行する場合が多いため、属人化しやすい傾向があります。購買業務が属人化することで、特定の従業員に依存しないと購買プロセスを進められないようになり、業務が停滞しやくなる・不正があっても発見が難しくなるなどのリスクが発生しやすいです。
また、引継ぎが困難になったり、業務にローカルルールが出来上がったりする場合もあるため、不正が生まれやすくなります。
購買業務では、取引先と密接に関わりながら業務を進めるため、癒着による不正が発生するリスクがあります。具体例としては、主に以下のようなものが挙げられます。
業務の属人化が進めば、不正の発生リスクはさらに高くなるでしょう。
購買業務は、水増し請求や情報漏洩などの社内不正の発生リスクが高い業務です。お金を扱う業務であるため、購買プロセスの内部統制が取れていないと、水増し請求などの不正が発生しやすいと考えられます。また、調達先である企業と深く関わることから、情報漏洩といった社内不正も発生しやすいです。
具体的な不正としては、主に以下のような事例が挙げられます。
これらの主な原因は、同じ従業員が発注から検収までの一連の購買業務を単独で担当するなど、組織内でのチェックが行き届きにくいことです。一人の従業員が兼務するような業務体制であるほど、不正リスクが高まることを覚えておきましょう。
購買プロセスの内部統制を適切に構築する上でポイントとなるのは、次の5つです。
ここでは、それぞれのポイントについて見ていきましょう。
購買プロセスの内部統制を適切に構築するには、「購買管理規程」を作成しましょう。規程を作っておくことで、購買プロセスに関するルールや手順を可視化できます。属人化の防止や、チェック体制の強化にも有効です。
購買管理規程とは、購買プロセスにおける業務フローや禁止事項を定めた社内規定です。主に以下のような項目についてルールを定めます。
上記の項目について定めることで見込める効果については、次項で解説します。
購買管理規程で定める主な内容は、次のとおりです。自社の購買業務に則した購買管理規程を作成しましょう。
項目例 | 主な内容 | 得られる効果 |
目的 | ・購買管理規程を作成した目的 | ・購買業務のあり方を社内に共有できる |
取引先の選定や評価 | ・サプライヤーの選定基準
・サプライヤーの評価基準 |
・誰でも客観的な選定作業ができる
・不正に特定の業者が選ばれることや癒着を防止できる |
契約・発注 | ・契約書の作成方法
・契約の不履行条件 ・決裁を取るまでの手続き ・各書類の保管期間 |
・契約に関することや決裁を取るまでの手続きや作成する書類について、社内で共有できる
・業務の属人化を防げる |
着荷、検収の確認 | ・着荷の確認方法
・検収作業について ・返品 |
・着荷時の対応を社内で統一できる
・検収方法を可視化し、不正な発注を防げる |
支払条件 | ・取引先に支払うまでの手順 | ・水増し請求などの不正を防止できる |
購買管理規程を踏まえて、購買基準やサプライヤー(取引先・仕入先)の選定基準を明確にすることで、規定内容を精度高く実践できるようになります。購買基準とは、購買する品物の基準などを具体的に定めたものです。たとえば、次のような内容を定めます。
サプライヤーの選定基準とは、サプライヤーを選ぶ際における最低限の条件のことです。これら基準を具体的に定めて社内で共有することで、誰でも客観的な視点でサプライヤーを選定できるほか、悪徳業者などと取引してしまうリスクを低減できます。
職務分掌とは、各従業員や役職ごとの役割や、責任を負うべき範囲や権限の内容などをわかりやすく整理することです。
購買プロセスの内部統制を構築する上で、職務分掌は欠かせません。支払い業務にも関わる購買業務では、一人の従業員が複数の業務を兼務している場合、取引先からの営業で不正を働いてしまう可能性があるためです。
特に発注業務や検収業務、支払い業務などを一人の従業員に兼務させると、権限の集約により不正のリスクが高くなります。複数の従業員に分担させるようにしましょう。
購買プロセスの内部統制を構築する上で、買掛金残高が正確かどうか資料と照合する作業を必ず実施しましょう。横領などの不正は、購入した資材の値引きや返品、割戻しといった当初の買掛金から変動がある場合に起こりやすくなるためです。
適宜、買掛金残高を請求書などと照合してチェックすることで、不正が発生してもすぐに気付くことができ、不正に対する抑止効果を高めます。
これまでの購買実績や進捗状況を可視化することも、購買プロセスの内部統制につながります。ただし、日頃から「いつ、どこで、誰が、何を買っているか」といった購買情報を記録し、適切に管理しなければなりません。
企業において購買は日常的に行うため、一つひとつの購買情報を集約して管理することは手間となるでしょう。特に製造業など膨大な量を購買する企業では、管理が煩雑化されやすいです。
そのため購買業務では、サプライヤーの選定から支払いまでの一連の業務を一つのシステムでまとめて一元管理できる「購買管理システム」を導入するとよいでしょう。
前述の通り、購買管理システムを導入することで、購買業務の内部統制を効果的に実現できます。たとえば、購買の実態が把握しづらいのであれば、購買管理システムの導入によってすべての購買データを集約できるため、購買の全容が一目で把握可能です。
また、経費精算の業務負担が大きい場合は、購買管理システムの導入によって請求を一本化しまとめて処理できるため、業務負担を軽減できます。
実際にビズネットの「購買管理プラットフォーム」を導入した私立の学校法人の事例では、学内の各部の購買状況を一括して把握できるようになり、経理部の負担軽減につながりました。加えて、まとめて物品を購入することが可能となり、購買コストの削減も実現しています。
購買業務では企業のお金や資材を取り扱うため、他の業務よりも取引先との癒着による不正や社内不正のリスクが高くなる傾向にあります。そのため、企業では購買プロセスの内部統制を図り、不正を未然に防ぐ体制作りが欠かせません。
購買プロセスの内部統制を実現するためには、購買管理規程の作成や職務分掌、買掛金残高のチェック、購買状況の可視化などが有効です。
購買管理システムを導入することで購買情報を一元管理できるため、購買状況の可視化が効率的かつ効果的に実現できます。購買管理システムの導入を検討している企業は、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」をぜひご検討ください。
この記事の監修者
ビズネット株式会社
受発注の業務改善によって顧客サービス向上と新たなビジネスの展開を支援する「購買管理プラットフォーム」を14,000社以上の企業に提供しています。電力、電設、建設・医療・製造などの現場専門品の購買業務を最適化し、業務やコスト削減・生産性向上を実現いたします。
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