製造業のペーパーレス化の事例や対象となる文書、進め方についてご紹介

製造業でペーパーレス化した事例を確認して、自社の業務に取り入れられるかを検討したい方も多いのではないでしょうか。ペーパーレス化を推進することで、業務効率化やコスト削減などのメリットが期待できます。

この記事では、製造業でペーパーレス化に取り組むメリットや具体的な事例、対象となる主要文書を紹介します。さらに、製造業におけるペーパーレス化の進め方についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

製造業でペーパーレス化に取り組むメリット

製造業でペーパーレス化に取り組むメリット

そもそもペーパーレス化とは、従来は紙で管理していた「情報の記録・保存・共有」を、デジタル化して運用することを指します。テクノロジーの力を活用し、情報の生成・収集・管理・配布が電子的に行われることで、業務効率化などさまざまなメリットが見込まれます。

ここでは、製造業のペーパーレス化に取り組むことで得られる4つのメリットを確認していきましょう。

業務効率化を図れる

製造業でペーパーレス化に取り組むことで、紙に関連する業務を効率化することが可能です。コロナ禍でペーパーレス化が進んだものの、工場を持つ製造業などでは依然としてペーパーレス化が進んでいない状況です。

ペーパーレス化による具体的なメリットとして、紙の作成・印刷・配布といった工程を省略できるほか、システム入力や書類探しの手間の削減、誤入力の防止を実現できることが挙げられます。特に製造業は人手不足が深刻化している状況にあり、貴重な人的資本を有効活用するためにも、業務効率化を図る重要性は高いでしょう。

製造業における人手不足の原因や懸念される影響、解決策については、以下の記事をご参照ください。

製造業における人手不足の原因とは?人手不足の現状や懸念される影響、解決策も紹介

スムーズな情報伝達を実現できる

紙文書は物理的なスペースが必要となる上、適切に管理することが難しく、特定の情報を見つけるのに不要な時間がかかることがあります。

しかし、ペーパーレス化すれば、情報をコンピューターやクラウド上で一元管理できるので、検索機能を使用して瞬時に必要な情報を見つけることができます。特に製造業の場合、作業手順書や現場帳票、不具合報告書などの書類に対するアクセス性向上が見込まれるでしょう。

また、ペーパーレス化によって、情報の共有・編集を容易に行えるというメリットもあります。製造業においても、リモートワークなど柔軟な働き方を取り入れている企業は少なくないため、ペーパーレス化の利点は一層大きくなっています。

コスト削減・環境配慮につながる

ペーパーレス化を推進することで、消耗品費やプリンターのメンテナンス費、保管スペース、人件費といった紙に関連するさまざまなコストを大幅に削減できます。

製造業の場合、製品や工程ごとに作業手順書などを用意する必要があり、作成・印刷・配布・回収・管理の業務プロセスが発生します。ペーパーレス化によって、これらの業務にかかる人的コストを抑制できるでしょう。

また、紙の製造や輸送、廃棄によるCO2排出も無視できません。ペーパーレス化により、これらの環境負荷を大幅に削減すれば、企業としての社会的責任を果たせるので、対外的なイメージアップ戦略としても有効です。

なお、環境負荷を抑えるために企業が取り組むべき「グリーン調達」については、以下の記事で詳しく解説しています。

グリーン調達の目的・基準とは?取り組むメリットや流れ、規格をわかりやすく解説

ビズネットでは、具体的なコスト削減方法に関する無料の動画セミナーをご提供しています。再現性が高く、効率的なコスト削減方法を知りたいという方は、ぜひご覧ください。

今さら聞けない!コスト削減の基本セミナー~購買管理編~

いまさら聞けないコスト削減の基本セミナー 購買管理編

KPI分析に役立てられる

ペーパーレス化によって、製造業におけるKPI(重要業績評価指標)分析に役立てられるメリットがあります。たとえば、在庫管理のシステムを活用している場合、「在庫回転率」や「良品率」といったKPIの分析がしやすくなります。

紙ベースで管理している場合は、データ集計などに時間を要してしまいます。しかし、ペーパーレス化によってKPI分析が容易になることで、ボトルネックを可視化でき、現場主体の改善活動をスムーズに進められるでしょう。

製造業のペーパーレス化の事例

製造業のペーパーレス化の事例 課題 ペーパーレス化の効果

次に、製造業におけるペーパーレス化の事例を見ていきましょう。ここでは、すでに14,000社以上の企業様にご利用いただいているビズネットの購買管理システム「購買管理プラットフォーム」を導入した株式会社ニッスイ様の事例を紹介します。

なお、購買管理システムの詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。

購買管理システムとは?企業における必要性やシステムの種類、メリット・デメリットなどを徹底解説!

「購買管理プラットフォーム」のその他の導入事例については、以下の事例集よりご確認いただけます。

お役立ち資料 購買管理プラットフォーム導入事例集

購買管理プラットフォーム 導入事例集

課題

株式会社ニッスイ様の原料開発部では、工場や事業所など約100拠点における消耗品の調達を担当していました。その際、各拠点で電話・FAX・メールなどの異なる発注手段を用いているため、注文内容を取りまとめてサプライヤーへ発注を行うのに多大な労力が必要でした。

また、各拠点が個々にサプライヤーに関する請求データを作成することで、業務工数が大きく増加していることも課題でした。発注から請求の一連の流れに多くの「ヒト」が介在するため、発注漏れや誤発注が頻発し、システムと運用の両面で見直しを迫られていたのです。

ペーパーレス化の効果

同社では、ペーパーレス化の推進とともに、集中購買や各拠点での発注手段の一元化、発注漏れ・誤発注の防止を目指しました。加えて、支払業務・価格交渉の一元化、スムーズな価格比較を行うため、インターネットを通じた調達が必要と判断し、ビズネットの購買管理システム「購買管理プラットフォーム」を導入することを決定しました。

「購買管理プラットフォーム」を導入し、ペーパーレス化を推進した結果、同社は年間約6万枚のコピー用紙の削減に成功しました。また、オペレーションを一元化することで、発注手段の統一や誤発注の防止、発注統制の強化なども実現しています。

さらに、各工場での価格交渉時間を年間約525時間削減したほか、支払業務時間を約500時間削減するなど、大幅な工数削減を達成できています。

製造業でペーパーレス化できる主要な文書

製造業でペーパーレス化できる主要な文書として、以下の4つが挙げられます。

文書 ペーパーレス化の内容・効果
現場帳票 注文書・製造日報・品質管理書類・保守点検記録などの現場帳票をペーパーレス化することで、本社や各工場で情報をリアルタイム共有できる。
作業手順書・マニュアル 作業手順書・マニュアルの電子化により、必要な情報の検索性の向上や、紛失・汚損の防止の効果がある。動画マニュアルなどを導入するのもよい。
図面 図面をペーパーレス化することで、印刷や管理にかかるコスト削減を図れる。3D図面を導入した場合、視覚的な理解の促進や、設計精度の向上といったメリットも見込まれる。
会計帳簿 請求書・給与明細・勤怠管理などの会計帳簿をペーパーレス化すれば、関連法令の遵守や管理コストの削減、誤入力の防止などに役立つ。

上記のほか、会議資料や人事・給与情報、法定書類、調査報告書、営業資料などの幅広い書類がペーパーレス化の対象です。これらの書類をデジタル化することで、情報へのアクセス性の向上や、編集・更新の円滑化、セキュリティの強化が可能となります。

【5ステップ】製造業におけるペーパーレス化の進め方

製造業でペーパーレス化を進める際は、以下5つのステップで行います。

  1. 課題を抽出する
  2. 課題に優先順位を付ける
  3. ITシステムの特徴を整理する
  4. ペーパーレス化に伴う手順・方法の再設計を行う
  5. ペーパーレス化のスケジュールを決める

それでは、各ステップの詳細を確認していきましょう。

ステップ1.課題を抽出する

まずは、ペーパーレス化によって解決したい課題の抽出を行いましょう。具体的な課題例として、以下が挙げられます。

  • 現場帳票の記録・転記ミスが頻発している
  • 現場帳票の承認・管理の対応に工数を取られている
  • 作業手順書の整備が間に合っていない
  • 決済や承認作業が紙処理のために出社する必要がある

業務効率化や生産性向上を目的として、このような課題を洗い出すことが重要です。

ステップ2.課題に優先順位を付ける

ペーパーレス化を一気に進めると、製造現場の混乱などを招く可能性もあるため、スモールスタートで取り組むのがおすすめです。ここでは、ステップ1で抽出した課題に対し、優先順位を付けて、優先度の高いものから取り組んでいきましょう。

なお、優先度を整理する際は、「4象限マトリクス」のフレームワークが役立ちます。ペーパーレス化について分析する際は、「業務改善効果」と「ペーパーレス化の難易度」の2軸を設定して活用することで、優先度をスムーズに整理できます。

ステップ3.ITシステムの特徴を整理する

次に、ペーパーレス化で使用するITシステムの特徴を整理し、自社のニーズに適したものを選定しましょう。たとえば、製造に必要な資材を発注する際、数量や品番などの記載ミス・転記ミスが発生するという課題を解決するには、購買管理システムの導入でペーパーレス化を進めることが有効です。
システム上で情報を一元管理することで、人的ミスの削減や業務効率の向上が期待できます。

その際、システムのアクセス性や閲覧権限の設定などについて確認しておくことが大切です。システムの選定基準を定めておくことで、自社に最適なシステムを導入できるでしょう。

発注ミスが多い原因や具体的な防止策について知りたい方は、ぜひ以下の記事をご参照ください。

発注ミスが多い原因とは?発注ミスによる影響と防止策も紹介

ステップ4.ペーパーレス化に伴う手順・方法の再設計を行う

ペーパーレス化に伴い、製造業務の手順・方法が変わるケースもあるため、必要に応じて再設計を行う必要があります。

たとえば、組付け作業手順書をペーパーレス化し、動画マニュアルを導入した場合、「PC/タブレットから動画マニュアルを探す」「作業手順を動画で確認する」といった変化が発生します。そのため、作業の手順、流れなどのルールを事前に見直し、スムーズにペーパーレス化できるようにしておくとよいでしょう。

また、ペーパーレス化は「4M変更」にも当てはまる可能性があるので、トラブルや事故につながる変化がないか、しっかりと整理する必要があります。4Mとは「Material(材料)」「Man(人)」「Machine(機械)」「Method(方法)」の要素のことです。

品質不良の原因になり得る4Mの詳細や、製造業の品質不良対策などについては、以下の記事で詳しく解説しています。

品質不良とは?原因となる「4M」や製造業の品質不良対策・対処の流れも解説

ステップ5.ペーパーレス化のスケジュールを決める

ステップ3で決めた優先順位をもとに、ペーパーレス化のスケジュールを策定していきましょう。以下では、一例として製造日報のペーパーレス化を進める場合のスケジュールを紹介します。

【ペーパーレス化のスケジュール例】

5月 製造日報に必要な項目と不要な項目を精査する。
6月 デジタル化した製造日報のフォーマット作成、及びマスターデータの整理を行う。
7月~8月 一部プロセスでデジタル化した製造日報を運用し、検証・改善を継続する。
9月 全体のプロセスで、デジタル化した製造日報を運用する。

ペーパーレス化をスムーズに実行するためにも、上記のように計画的に取り組んでいくことが大切です。

【製造業】ペーパーレス化を成功させるためのポイント

ここからは、製造業でペーパーレス化を成功させるためのポイントを解説します。

自社のニーズに適したシステムを活用する

ペーパーレス化を進める際は、自社の業務内容や規模などを踏まえつつ、ニーズに適したシステムを活用することがポイントです。たとえば、近年はサイバー攻撃による不正アクセスやハッキング、情報漏洩といったリスクが高まっていることもあり、電子的に情報の保存・管理・共有をするためには、十分なセキュリティ対策を講じる必要があります。

具体的には、「セキュアなクラウドサービスである」「アクセス権限を厳格に管理できる」「定期的なセキュリティチェック・アップデートを実施してくれる」といった条件に当てはまるシステムを採用するとよいでしょう。加えて、データの暗号化や強力なパスワードポリシーの設定に対応していることもポイントです。自社における社員へのセキュリティ意識の啓蒙と教育も欠かせません。

また、ペーパーレス化に役立つツールとしては、購買管理システムのほかにデジタル経理サービスや会議システム、スキャン機能付きのプリンターや専用のスキャナーなども挙げられます。これらのデジタルツールを駆使することで、必要なタイミングで必要な情報を、簡単に検索・共有できる体制へと整備できるでしょう。

ペーパーレス化を段階的に進める

段階的にペーパーレス化を進めることで、製造現場などの社員の負担を抑えられます。例を挙げると、紙とデジタルシステムの併用期間を設けて、新しいシステムの使用に慣れてもらう方法などが有効です。

もしも問題点や課題点が出てきた場合は、随時フィードバックして、より最適化したシステムの運用につなげていきましょう。

自社に最適なシステムで製造業のペーパーレス化を!

製造業でペーパーレス化を図る際は、主要な文書や5つのステップをしっかりと把握し、段階的に進めることが大切です。また、今回ご紹介した事例のように購買管理システムを導入すれば、購買業務に関する書類のペーパーレス化を図れるだけでなく、一元管理による業務効率化なども実現できます。

製造業のペーパーレス化の第一歩として購買管理システムを導入したい方は、ぜひビズネットの「購買管理プラットフォーム」をご検討ください。当システムなら、トラスコ中山やモノタロウといった、製造業に特化した信頼性の高いサプライヤーと連携しており、5,000万品目以上のサプライヤー商品を会員様向けのディスカウント価格で購入できます。見積もり交渉にかかる書類・工数を削減できるほか、既存取引先の商材の電子カタログ化などにも対応可能です。

導入・運用時のサポート体制も整っていますので、システム操作にも簡単に慣れていただけます。スムーズなペーパーレス化を実現したい方は、お気軽にお問い合わせください

この記事の監修者

ビズネット株式会社

受発注の業務改善によって顧客サービス向上と新たなビジネスの展開を支援する「購買管理プラットフォーム」を14,000社以上の企業に提供しています。電力、電設、建設・医療・製造などの現場専門品の購買業務を最適化し、業務やコスト削減・生産性向上を実現いたします。

Contact資料請求・お問い合わせ

弊社のサービスに興味を持って頂きありがとうございます。
資料請求・お問い合わせについては、下記よりご連絡ください。

PAGE TOP

資料請求は
1分で入力完了

14,000社がご利用中

購買管理
プラットフォーム

まとめて実現!

資料請求はこちら無料

1分で入力完了