製造 間接費

製造業において「製品を作るのに具体的にいくらかかったか」を把握することは非常に重要です。そのような時に必要になるのが原価計算の基礎知識だといえます。

今回は、原価を知る上で把握しておきたい製造間接費について、直接費との違いや、製造間接費配賦(はいふ)差異とは何かなどを詳しく解説していきます。

購買業務の見直し何からはじめるべき?

間接材購買は会社の価値を生み出すコア業務ではない上に、直接材の4倍の発注数があると言われています。
改善することで社内の生産性が上がるのですが、何から手をつけていいのかわからず
多くの企業で見て見ぬふりをされている領域であるとも言われています。
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原価計算を行うはなぜ行う?その理由とは

原価を管理するため

原価の計算をなぜ行うのか。その理由のひとつとして挙げられるのが原価を管理する目的です。製造業を営む企業では、標準原価または目標原価と呼ばれる指標を設定して、いくらで製品を製造することができるのかを定めます。その上で、本当のところはいくら原価がかかったのかを計算する実際原価を算出し、標準原価または目標原価と比べて分析を行うのです。

製造業を営む企業が利益を上げる仕組みはシンプルで、原価のコストを減らすか、製造した商品の売上を上げるかの2択です。そのため、かかっている原価のコストを減らして無駄を省き、利益を増やす原価の管理は製造業経営の要のひとつと言っても過言ではありません。

価格を計算して決定するため

商品の価格を決めるためには、いくらの原価で生産して、いくらの価格で売れば利益が残るのかを計算する必要があります。そのため、原価を正確に把握しなければ、商品の利益が具体的にいくら出るのかを求めることができないのです。

このように、原価の把握は商品価格の決定にも大きな役割を担っています。

 

正確な財務諸表を作成するため

財務諸表とは、会社の財務状況や一定の期間における経営成績を把握するための資料です。株式会社では、この財務諸表を経理が作成する必要がありますが、その際に正確な数値を入力するためにも原価の把握は不可欠です。

製造業を営む企業の場合、財務諸表として作成する損益計算書・賃借対照表のほか、製造原価報告書を作成しなければなりません。こちらの資料を作成する際には正しい原価の値が必要となります。

予算管理や経営計画を行うため

商品の販売計画を立て、それに伴う利益計画や経営計画を行なっていくためには、商品をいくつ製造するか。また、どれくらいの原価をかけていくのかを把握する必要があり、予算管理が重要となります。

複数の商品を取り扱っている場合、それぞれの商品を製造する際に発生する原価を比較することにより、今後はどの商品を主力として売り出していくのか、あるいは今後どの商品の製造・販売を縮小していくのかを具体的に決めていくことができます。

製造原価とは

製造原価とは、製造業で取り扱う製品を作る際にかかる費用の合計を意味します。ひとつの製品を作るためには、材料費や人件費、その他の支出など様々な費用がかかります。これらを合計した費用が製造原価として把握されます。

自社で製造から販売までワンストップで行なっている企業の場合は、製造原価にくわえて、広告費や営業活動費などの販売に関わる費用も必要となってくるでしょう。これらの費用が発生した場合は、製造原価とは別で管理します。製造に関係する支出のみを合計した「金額=製造原価」と覚えておいてください。

製造間接費とは

製造間接費とは、製造業を営む企業が複数の種類の製品を生産している場合、どの製品の製造に消費されたのかを明確に区分できない原価のことを指します。このような場合、製造間接費は一定の基準によって按分して計算します。

製造間接費は、原価計算において認識しておくべき製造原価を構成する費用のうちのひとつであるとも言えます。できる限り正確な製造原価を把握するためには、この製造間接費の仕組みを理解し、原価計算を行うことができる会計知識が必要となります。

製造直接費と製造間接費の違い

製造直接費とは直接材料費や直接労務費、直接経費などをまとめた費用のことです。これらは、製造原価を構成する原価要素のうち、どの製品の生産にどれくらい消費したのかを直接的に認識することができる値であると言えます。

一方、製造間接費は間接材料費や間接労務費、間接経費のことをまとめた費用のことを指します。これらは、製造原価を構成する原価要素の中でも、どの製品の生産にどれくらい消費したのかを直接的には認識することができない値となっています。

そのため、製造直接費と製造間接費は、原価計算を行う上でわかりやすいものとわかりにくいもの、といった違いがあると言えるでしょう。製造原価の分類と詳しい内訳については、次項で詳しく説明していきます。

製造原価の分類と内訳

材料費

  • 直接材料費
    直接材料費とは、材料費の中でも、素材費・買い入れ部品費などのように直接的に消費した数量を認識できるものを指します。
  • 間接材料費
    間接材料費とは、材料費の中でも、工場消耗品費・消耗工具器具備品費・補助材料費など、製品を製造するにあたって直接的に数量を認識することができないものを指します。

労務費

  • 直接労務費
    直接労務費とは、製品を生産する際に消費した労力を直接的に認識できるものを意味しています。たとえば、直接工賃金などは直接労務費にあたると言えるでしょう。
  • 間接労務費
    間接労務費とは、製品を生産する際に消費した労力を直接的には認識できないものを指します。たとえば、事務職の社員に支払う給料・従業員賞与・社会保険料・間接工賃金などは間接労務費にあたります。

経費

  • 直接経費
    直接経費とは、製品を生産するにあたって消費した金額を直接的に認識することができる経費のことを指します。特許権使用料や外注加工賃などは直接経費にあたると考えることができるでしょう。
  • 間接経費
    間接経費とは、製品を生産するにあたって、消費した金額を直接的には認識することが難しいものを意味しています。たとえば、通信費・水道費などの各種光熱費・工場の原価償却費などは間接経費にあたります。

3つの段階で行う原価計算の流れ

①費目別原価計算を行う

  • 費目別原価計算とは
    費目別原価計算とは、材料費・労務費・経費の3種類に製造原価を分類して、そこから直接費と間接費に分類したものの消費額を算出する計算方法のことを指します。
    こちらの計算は、原価計算を行う上で最初に行う段階です。その後に、部門別原価計算を行なって部門に配賦(はいふ)し、製品別原価計算で製品に配賦します。配賦(はいふ)の概要は、後述にてお伝えします。
  • 材料費の計算
    材料費の原価計算は、直接材料費と間接材料費に分類できます。たとえば、製品が自動車を取り扱っている場合、材料費の内訳は以下のような想定となります。直接材料費は、自動車を製造するために消費した量を明確に認識できるものとなります。そのため、車体となる合板などの主要材料費・タイヤや計器類などの買い入れ部品費を計算する必要があるのです。間接材料費は、自動車を製造するために消費した量を明確に認識することが難しいものとなります。そのため、製造機械の燃料費・染料・塗料などの補助材料費、機械油・製造工程の消耗品などの工場消耗品費、固定資産として扱わない工具・器具・備品などの消耗工具器具備品費を計算します。
  • 労務費の計算
    労務費とは、労働によって発生する原価のことを意味しており、直接労務費と間接労務費に分類することができます。たとえば、製品が自動車を取り扱っている場合、労務費の内訳は以下のように想定できます。直接労務費は、直接工が自動車製造に関わった直接作業時間分の消費賃金が該当します。ただし、福利厚生費用・諸手当などの直接作業とは別で支払われる費用は直接労務費には含めずに計算する必要があります。間接労務費は、直接工に支払っている直接作業時間分の消費賃金以外の費用や、間接工・バックオフィスの従業員などに支払っている費用などが該当します。
  • 経費の計算
    経費とは、材料費と労務費以外にかかる原価のことを指しており、直接経費と間接経費に分類されます。たとえば、製品が自動車を取り扱っている場合、経費の内訳は以下のように想定することができるでしょう。直接経費とは、製品の製造に直接的に関わっている経費のことを意味しています。外注加工費・製品加工の鋳型の購入費などがこちらに該当します。ただし、外注加工費の中でも直接製品を製造する過程に関わらない場合は直接経費にあたらないので注意が必要です。間接経費とは、製品の製造には直接的に関わっていない経費のことを指します。工場の減価償却費・光熱費・建物の修繕費・倉庫の賃貸費・福利厚生施設負担費・保険料などがこちらに該当します。

 

②部門別原価計算を行う

  • 部門別原価計算とは
    部門別原価計算とは、組織の部門ごとに発生した原価を集計する計算方法のことを意味しています。部門別原価計算を行う理由としては、製品原価を合理的に計算し、原価管理を効果的に行うことが目的として挙げられます。工場における部門には、主に製造部門と補助部門があり、部門別原価計算ではそれぞれの部門でどれくらいの原価が発生しているのかを個別に集計していきます。
  • 製造部門の消費を計算
    製造部門とは、製品の製造を直接的に行う部門のことを指します。たとえば、製品が自動車を取り扱っている場合であれば、自動車を組み立てる組み立て部門や、加工を行う加工部門などは製造部門に該当するため、これらの原価の消費を計算します。
  • 補助部門の消費を計算
    補助部門とは、製造部門のサポートを行う部門のことを意味しています。たとえば、製品が自動車を取り扱っているのであれば、製造の事務管理を行う工場事務部門や、修繕を実施する修繕部門などは補助部門にあたるので、これらの原価の消費を計算します。

 

③製品別原価計算を行う

  • 製品別原価計算とは
    製品別原価計算とは、原価計算の最終的な段階のことを指します。こちらの計算では、原価を一定の製品単位で計算・集計を行い、1つの製品あたりにかかった製造原価を具体的に算出します。製品別原価計算は製品の生産方法に応じて、個別原価計算と総合原価計算のいずれか1つを選択して、製造原価の算出を実施していきます。
  • 個別原価計算
    個別原価計算とは、個別受注生産形態で適応される原価計算の方法です。顧客の注文が入ったタイミングで製品を生産する個別受注生産を行なっている場合は、個別原価計算を用いて製造原価を出します。
  • 総合原価計算
    総合原価計算とは、同じ規格の製品を一定のロット数で大量に製造する、大量見込生産形態を行なっている場合に適応される原価計算方法です。大量見込生産形態の中でも、1種類の製品を生産している場合は単純総合原価計算、1種類の製品ではあるものの大きさなどの等級によって区分されている製品を生産している場合は等級別総原価計算、異なる種類の製品を生産している場合は組別総合原価計算をそれぞれ適応します。

会計期間と原価計算期間とは

製造業であっても、財務報告の対象となってくる会計期間については、1年(または四半期・半期)となります。ただし、原価計算における原価計算期間は、月初から月末までの1ヶ月という短い期間に設定されています。

この会計期間と原価計算期間の長さの違いが発生する理由としては、原価計算は予算編成や経営判断を行う際の重要なデータとして算出すべきものであることが挙げられます。経営者及び役員に原価管理の情報を提供するスピードを上げ、価格設定などの判断をスムーズに行うためにも、原価計算期間は1ヶ月の短いスパンで行う必要があるのです。

ただし、月を跨いで進められる長期請負工事のような長期プロジェクトの場合は、事業の活動期間に合わせて原価計算期間も長期的に定めるケースが例外的にあることを覚えておきましょう。

製造間接費の配賦(はいふ)とは

配賦(はいふ)とは、一定の基準で各部門や製品ごとに費用を配分処理することを意味しています。製造間接費は製造直接費と比べると、どの製品に対してどれくらいの原価が消費されているのか、コストを明確に把握することが難しいです。

そのため、製造間接費は配賦する必要があります。配賦基準は各企業で独自に決めるものですが、利益にも影響を及ぼすので慎重に決定しなければなりません。一度定めた配賦基準は後から簡単に変更することはできなくなるので注意しましょう。

製造間接費配賦の種類

部門別配賦

  • 部門別配賦とは
    部門別配賦とは、直接部門と間接部門に費用を分けて、間接部門でかかる費用を一定の基準で分けた上で、直接部門に割り振ることを指しています。具体的には以下の3種類の配賦方法があります。
  • 直接配賦法
    直接配賦方法とは、補助部門の費用をサービス提供割合に応じて、補助部門のやりとりに関係なく、直接部門に割り振る方法のことです。たとえば、エネルギー部門の提供している水・電力は他の補助部門でも利用するものの、計算上は無視します。直接配賦方法は配賦の種類の中では最もシンプルなものである反面、原価計算の正確さの面でやや難があるとも言えます。
  • 相互配賦法
    相互配賦法とは、補助部門の費用について、補助部門とのやりとりやサービスの提供具合を考慮に入れ、製造部門に割り振る方法です。補助部門の間の配賦率をすべて設定する必要があるため、やや手間がかかるものの、他の配賦方法に比べると原価計算の正確さが増すメリットがあります。
  • 階梯式配賦法
    階梯配賦法とは、補助部門の費用について優先順位をつけた上で、優先順位が高い順で直接部門に振り分けを行う方法です。提供しているサービスの数が同じ場合には、金額の大小によって順番を判断します。補助部門への配賦も行うため、原価計算の正確性は向上する一方、配賦順位が低い補助部門のサービスを正確に数字へ反映しているとは言えない問題点があります。

製品別配賦

  • 製品別配賦とは
    製品別配賦とは、直接製品に割り振ることができない間接費用について、製品別に配賦することを意味しています。それぞれの製品で必要となる工数・人員・材料費などのコストは変わってくるため、このような項目から配賦基準を定め、その割合に応じて製品ごとに配賦を行なっていきます。

製造間接費の配賦における3つの基準

①物量基準

製造間接費の配賦方法の基準として挙げられるものに、物量基準があります。この基準には、生産高法があり、製造間接費の配賦方法の中でも原則的な方法であると言われています。

  • 生産高法
    生産高法とは、製造間接費実際発生額を製品の総生産量で除して、実際配賦率を計算し、各製造指図書の実際生産数を乗じて計算する方法のことを指しています。生産高法については、完成した製品と製造中の製品に製造間接費を区分することができるため、1つの種類の製品にかかる製造原価を算出する際に有効であるとされているのです。

②時間基準

  • 直接作業時間法
    時間基準における直接作業時間法は、直接工の作業している時間を基準に製造間接費の配賦を実施する方法のことを指します。製造間接費実際発生額を総直接作業時間で除して、実際配賦率を算出し、各製造指図書の直接作業時間を乗じて計算を行います。直接作業時間法は、製造間接費が実際にかかっている作業時間に比例して発生していく場合には有効な時間基準であると言われています。
  • 機械時間法
    時間基準における機械時間法とは、設備や機械の運転時間を基準にして製造間接費の配賦計算を行う方法のことを意味しています。製造間接費実際発生額を総機械時間で除して、実際配賦率を算出し、各製造指図書の実際機械時間を乗じて計算を実施します。機械時間法は、製品を製造する過程の大多数が設備や機械によって行われており、基準とすることができる生産ラインの主力機械が明確である場合に有効な時間基準であるとされています。

②金額基準

  • 直接材料費法
    金額基準における直接材料費法は、製造間接費実際発生額を直接材料費総額で除して、実際配賦率を算出し、各製造指図書の実際直接材料費を乗じて計算を行います。直接材料費法については、配賦基準を計算しやすい特徴があり、直接材料費が原価の大多数を構成している場合に有効な金額基準であると言われています。
  • 直接労務費法
    金額基準における直接労務費法は、製造間接費実際発生額を直接労務費総額で除して、実際配賦率を算出し、各製造指図書の実際直接労務費を乗じて計算を実施します。直接労務費法については、製品を作る製造時間に比例して労務費が発生してくるため、予定賃率を使用している場合や、消費賃率がそれぞれで大きく異ならない場合などで有効であるとされています。

製造間接費の配賦方法の判断について

ここまでで、製造間接費の配賦方法について詳しくご紹介を行なってきましたが、ベストな配賦方法の選び方は、事業内容によって異なってきます。

たとえば、製品①と製品②の製造事業を行なっている企業が、生産高法を一律で採用してしまうことは、最も正確な原価計算を行える方法とは言い切れないと思われます。

人的作業によって製造されている製品①については直接作業時間法を採用したり、製品②については製造過程を機械に頼っているので機械時間法を採用したりするなど、製品ごとに配賦方法を変えることが企業全体の原価計算においては現実的な場合もあります。

企業が大きくなればなるほど、現場に管理を任せている製造間接費についても大きくなる傾向があるため、いくつかの費目群にグループ化された別々の配賦基準を用意せねばならないケースもあるのです。

そのため、製造間接費の配賦方法のどの基準を採用することがベストなのかを判断するためには、原価計算を行う経理担当者が、現場での作業工程をできる限り把握しておくことも大切になってきます。

製造間接費配賦差異とは

製造間接費配賦差異とは何か

製造間接費配賦差異とは、原価計算の分野で使用する言葉であり、製造間接費の実際発生額と、予想配賦額の差額のことを意味しています。

  • 製造間接費配賦差異が発生する原因
    製造間接費とは、1つの製品あたりのコスト投入量を明確に把握することができない費用のことです。そのため、支出された費用のうち、いくらが製品1つにつき投入されたコストを計算するために配賦と呼ばれる作業が必要となります。配賦の作業には、実際配賦と予定配賦の2つがあります。実際配賦とは、実際の製造間接費の発生する金額を一定の基準にしたがって配賦する方法のことです。一方、予定配賦は事前に設定した予算と操業度を利用して製造間接費を配賦する方法を指します。配賦作業は、実際配賦を活用することで正しい原価計算を行うことができるメリットがあります。ただし、実際配賦のみを利用すると、その計算を実施する期末などの時点でないと原価を算出することができないデメリットがあります。そのため、実際配賦のみを利用することで原価に関する内容やデータを把握することが遅れ、経営判断や企業としての意思決定が後手に回ったり、操業度によって製品の単位原価が大きく変動してしまったりする懸念が出てきます。このような実際配賦におけるデメリットを解消するために、予定配賦があると覚えておくと良いでしょう。ただし、予定配賦のみを利用した原価計算は、あくまでも文字の通り予定の範囲であることから、実際の配賦額とは乖離が発生してしまう懸念があることは把握しておく必要があります。

製造間接費配賦差異の種類

  • 製造間接費配賦差異を分類することで発生原因を分析できる
    製造間接費配賦差異は、予算差異・能率差異・操業度差異の3つに分類することができます。これらの分類を行うことによって、製造間接費配賦差異がいったい何が原因で発生したのか、詳しく分析することができるようになります。たとえば、身近な事例を挙げると、30個の製品を生産する際に、初期費用で20万円、1個あたり1万円のコストがかかると見積もりを行い、合計50万円の予算を予想したとします。しかし、実際に支払った費用が60万円だった場合、10万円分を多めに払うことになった原因を分析する必要が出てきます。予想よりも10個の製造が増えたことで10万円分の予算が余分に出たのか、1個あたりのコストが予想よりも高くなったのか、などの発生原因を考える際に、予算差異・能率差異・操業度差異の3つの観点が重要になってくるのです。
  • 予算差異
    予定差異=実際操業度における予算許容額−実際発生額予定差異とは、実際操業度における予算許容額から、実際発生額を引くことで求めることができます。
  • 能率差異
    能率差異には、固定費能率差異と変動費能率差異の2種類があります。固定費能率差異=(標準操業度−実際操業度)×固定費率固定費能率差異は、標準操業度と実際操業度を引いた数値に、固定費率をかけて計算を行うことで求めることが可能です。変動費能率差異=標準操業度−実際操業度×変動費率変動費能率差異は、標準操業度と実際操業度を引いた数値に、変動費率をかけて計算を行うことによって求められます。
  • 操業度差異
    操業度差異=(実際操業度−基準操業度)×固定費率操業度差異は、実際操業度と基準操業度を引いた数値に、固定費率をかけて計算を行うと求めることができます。

製造間接費配賦差異の会計処理

  • 有利差異の会計処理
    有利差異とは、予定配賦額が実際配賦額よりも大きい場合の差異のことを指します。「製造業者が予算の範囲内で最適化された費用を支出することができた」といった意味で、「有利」という言葉が用いられています。たとえば、予定配賦額が100万円、実際配賦額が90万円となる場合には、借方勘定科目の製造間接費は10万円の借方金額、貸方勘定科目の製造間接費配賦差異は10万円の貸方金額ということになります。

 

  • 不利差異の会計処理
    不利差異とは、予定配賦額よりも実際配賦額の方が大きい場合のことを指します。「製造業者が想定していたコストの範囲内を超えて費用を支出してしまった」といった意味で、「不利」という言葉が用いられています。たとえば、予定配賦額が100万円、実際配賦額が110万円だった場合には、借方勘定科目の製造間接費配賦差異は10万円の借方金額、貸方勘定科目の間接製造費は10万円の貸方金額ということになります。

原価計算の大切さをしっかりと理解して日々の業務に取り組むのが第一

製造業を営んでいる企業の場合、ひとつの製品を作り上げるまでに人的リソースや物的リソースなどがかかり、多くの工程が必要となります。細かい区分の把握をしなければならないため、製造原価の算出には労力がかかりますが、今回ご紹介した原価計算のためのノウハウや知識をご活用いただき、ぜひとも正確な原価把握を心がけていただければ幸いです。

製造業における原価計算は、利益の創出や経営計画にも大きな影響を与える情報であるため、正確な原価計算の実施は経理の手腕が問われるところです。会社の全体の状況を把握し、間違いのない経営判断を実施していくための重要な作業に従事している自覚を持って、原価計算の経理業務を行って参りましょう。

自社に合った購買管理システムを活用して原価を適切に管理

正確に原価を把握するためには、明確な数値を把握しやすい製造直接費だけでなく、明確な数値を把握しにくい製造間接費についてもしっかりと算出をしていく必要があります。

今回ご紹介してきた、原価を知る上で把握しておきたい製造間接費について、直接費との違いや、製造間接費配賦差異とは何かなどの知識を身につけて、より効率の良いコストパフォーマンスを実現する製造活動を推進していきましょう。

ビズネットの購買管理プラットフォームは、間接材の調達・購買の効率化を実現することができ、有名サプライヤーが提供する約5000万点の商品から最安品・在庫検索を行うことが可能です。

ECサイト未対応の既存取引先からの購買についても、デジタル化して一元管理が可能で、企業のルールに沿ってカスタマイズを行うことができる点も魅力だと言えます。

製造業を営む企業において、正確な原価を把握し、コスト削減をいかに行うことができるか検討できる状態に整えることは非常に重要です。

ビズネット株式会社が提供する「購買管理プラットフォーム」(https://www2.biznet.co.jp/procurement/)は、14,000社以上の大企業・中堅企業が採用しているとなっております。DX化による調達・購買の統合管理・コスト削減を行い、原価を最適化していきたい担当者・経営者の方はぜひともご利用をご検討ください。

 

この記事の監修者

ビズネット株式会社

受発注の業務改善によって顧客サービス向上と新たなビジネスの展開を支援する「購買管理プラットフォーム」を14,000社以上の企業に提供しています。電力、電設、建設・医療・製造などの現場専門品の購買業務を最適化し、業務やコスト削減・生産性向上を実現いたします。

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