サイバー攻撃や自然災害の脅威が増す中で、サプライチェーンリスクに対応する必要性が高まっています。自社の経営基盤を守るために、サプライチェーンリスクについて把握しておきたい方も多いのではないでしょうか。

今回は、サプライチェーンリスクの概要や種類を詳しく紹介します。その上で、対策となる「サプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)」の概要や具体的な方法、実施の流れも解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

サプライチェーンリスクとは


サプライチェーンリスクとは、サプライチェーンで発生し得る物理的なリスク、あるいはセキュリティ上のリスクを指します。そもそもサプライチェーンとは、企業が製品を提供する上での「調達・生産・物流・販売・消費」という一連のプロセスを指す言葉です。

製品を製造するにあたり、調達プロセスではサプライヤー、物流プロセスでは運送業者などの関連企業から協力を得ることが一般的です。関連企業でのトラブルや自然災害の発生などが要因で、物理的なサプライチェーンリスクが高まると、サプライチェーンの機能が滞るおそれがあります。

また、セキュリティ面に関わるリスクとして、関連企業を経由して自社がサイバー攻撃を受けるリスクなども挙げられます。サプライチェーンの混乱や断絶を招かないためにも、これらのサプライチェーンリスクへの対策を立てることが重要です。

サプライチェーンリスクの種類

サプライチェーンリスクの種類として、以下の4つが挙げられます。

  • サイバー攻撃などセキュリティに対するリスク
  • 政治や紛争によるリスク
  • 経済状況の変動によるリスク
  • 自然災害によるリスク

それぞれのサプライチェーンリスクについて詳しく見ていきましょう。

サイバー攻撃などセキュリティに対するリスク

サイバー攻撃などセキュリティ面のリスクとは、サプライチェーン上のネットワークを介して不正アクセスされるリスクのことです。企業の場合、不正アクセスによって機密情報の漏洩や、広範囲にわたるセキュリティ攻撃を受けるおそれがある ため注意が必要です。

また、セキュリティに対するサイバー攻撃のパターンとしては、委託先や子会社を狙った攻撃や、サービス提供元を狙った攻撃などが挙げられます。特に委託先や子会社のセキュリティ対策が不十分な場合、不正アクセスを受ける可能性が高まります。

2023年には、ある自動車メーカーのサーバー機器が不正アクセスの被害を受け、社員らの個人情報の一部 が流出した可能性があると発表 した事例もありました。

政治や紛争によるリスク

政治や紛争が要因で発生するサプライチェーンリスクのことを、地政学リスクと呼びます。地政学リスクの要素には、戦争・テロの発生や、貿易制限・関税の不確実性などが含まれます。

昨今の事例としては、「ウクライナショック」が挙げられるでしょう。2022年にロシアがウクライナへ侵攻したことを受けて、欧米諸国による経済制裁や、ロシアによる輸出制限が発生し、エネルギー価格、木材価格の高騰につながりました。建築業界においては、建築コストの増加や納期の長期化を招く要因 ともなっています。

経済状況の変動によるリスク

経済状況の変動によるリスクとは、経済危機や価格変動によってサプライチェーンに影響を及ぼすリスクのことです。リスクを招く具体的な要因には、原材料・部品の不足や価格変動、サプライヤーの生産能力低下などが挙げられます。

2008年に発生したリーマンショックは、世界的にも大きな経済危機でした。日本にも余波は広がり、上場企業の倒産数は戦後最多の33社に上っています 。

また、近年は円安為替の傾向が続いていることを受け、原材料価格の高騰に悩んでいる企業も少なくありません。このようなリスクに対応するには、適切な調達先の選定や、共同仕入れなどの対策を立てる必要がある でしょう。

自然災害によるリスク

地震や異常気象など自然災害の発生によるリスクも、サプライチェーンリスクに数えられます。過去の事例として、2011年3月の東日本大震災では多くの製造業者や部品メーカーが被災し、サプライチェーンの寸断が起こりました。たとえば、自動車メーカーの国内工場は部品の供給が間に合わず、その多くが操業停止まで追い込まれています。

また、2024年1月に発生した能登半島地震の影響を受けて、資材の調達に影響を来したという企業も少なくありません 。自然災害のサプライチェーンリスクに対する完璧な対策を立てるのは難しいものの、可能な限りの手を打っておくことで、自社の損害を最小限に抑えられます。

サプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)で対策できる


サプライチェーンリスクの影響を抑えるには、リスクマネジメントを予め行い、対策しておくことが重要です。その具体的な手法がサプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)です。

以下では、サプライチェーンリスクマネジメントの概要と、重要性が高まっている背景について紹介します。

サプライチェーンリスクマネジメントとは

サプライチェーンリスクマネジメントとは、サプライチェーンに影響するリスクを特定・評価した上で、対策を策定・実行することで、サプライチェーンリスクを低減する取り組みのことです。

この取り組みを推進すれば、地政学リスクや自然災害リスクの影響を減らし、自社の製品・サービスを安定的に供給するための対策や訓練、教育などを実施できます。

サプライチェーンリスクマネジメントが重要となった背景

サプライチェーンリスクマネジメントの重要性を高めた背景として、新型コロナウイルスの世界的な流行が挙げられます。コロナ禍前は多くの企業が東アジアに生産拠点を固めていましたが、新型コロナウイルスが感染拡大したことで、リードタイムの延長やコストの上昇、調達の困難化 など、サプライチェーン上のさまざまな問題が発生しました。

また、近年は企業におけるセキュリティ被害が増加していることも、サプライチェーンリスクマネジメントの重要性を高めた背景といえます。特定の企業・組織に向けた「標的型攻撃メール」 や、データを不正に暗号化して金銭を要求するソフトウェア「ランサムウェア」 など、サイバー攻撃の種類は高度化しており、十分なリスクマネジメントが求められています。

サプライチェーンリスクマネジメントで対策する具体的な方法


続いて、サプライチェーンリスクマネジメントで対策する具体的な方法について紹介します。ただし、今回紹介するのは一例であるため、あくまで参考としてご参照ください。

サプライヤーも含めたセキュリティ対策の徹底

セキュリティリスクマネジメントの効果を高めるには、関連会社やサプライヤーも含めて、セキュリティ対策を徹底する必要があります。

その理由として、関連企業を経由した不正アクセスの被害や、委託先の従業員による情報の外部流出といったリスクがあるためです。関連企業やサプライヤーに対しても協力を仰ぎ、自社と同水準のセキュリティ対策を導入してもらいましょう。

また、委託先を選定する際に、委託先がどのようなセキュリティ対策を施しているのかを確認することもおすすめです。判断基準の1つとして、情報セキュリティにおける機密性・完全性・可用性の要件を満たしている証である「ISMS認証」 を取得しているかを確認するとよいでしょう。

さらに、委託先や取引先とセキュリティ契約を締結する際は、問題が発生した際の対応内容や責任の所在を明確化することが重要です。

サプライチェーンマネジメントの導入

サプライチェーンマネジメントを導入することで、サプライヤー管理が最適化され、サプライチェーンリスクが高まった場合も対処しやすくなります。サプライチェーンマネジメントとは、資材の調達から消費者へ提供するまでの一連のプロセスを最適化する管理手法のことです。

調達・製造・在庫管理・流通・販売・消費というプロセス全体を最適化させるため、「リードタイムを削減できる」「在庫管理を最適化できる」といったメリットが期待できます。たとえば、自然災害によるサプライチェーンリスクが高まった場合も、サプライチェーンマネジメントの導入によってリードタイムを短縮していれば、同業他社に比べて損害を抑えられる可能性があります。

サプライチェーンマネジメントの概要については、ぜひこちらの記事もご参照ください。

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?企業から注目される理由や導入の流れ

BCPの策定・周知

BCP(Business Continuity Planning:事業継続計画書)とは、企業が自然災害などの被害を受けても事業を継続させるために策定する計画のことです。BCPには、緊急事態に直面した場合の事業資産の損害を最小限に抑えて、事業の継続あるいは早期復旧を目指す計画を記します。

事前にBCPを策定しておくことはもちろん重要ですが、社内外に周知することも大切です。たとえば社内の場合、BCP対策説明会を定期的に社内で実施する、オフィスに掲示物を貼るといった方法が有効です。

社外へ周知する場合は、自社サイトやプレスリリースに掲載する方法を利用できます 。

サプライチェーンリスクマネジメントを実施する流れ


ここからは、サプライチェーンリスクマネジメントを実施する流れについて紹介します。

自社に影響を及ぼすサプライチェーンリスクの洗い出し・分析

まず自社のサプライチェーンの構造から、影響する可能性のあるリスクを特定しましょう。リスクの洗い出しに際しては、さまざまな部門の連携が必要となるほか、経営層の参加が重要なポイントとなります。

なお、対象となるリスクの発生頻度や確率などを分析する必要もあります。たとえば、在庫に対するサプライチェーンリスクを低減したい場合、分析には客観的なデータが不可欠となるため、一元管理が可能なシステムを導入しているとスムーズに分析できるでしょう。

リスクに対するマネジメント戦略の計画策定

次に、分析したリスクに対してどのようなマネジメント戦略が有効なのかを検討し、計画を策定します。リスクの発生頻度や発生の可能性、対象範囲をもとに、リスクに対応する優先順位を決めて、具体的な対応方法や管理方法を決めることがポイントです。

また、自社やサプライヤーに関するBCPを改善する場合は、関係者と協議しながら実施しましょう。

サプライチェーンリスクマネジメントの実行

最後に、対象のサプライチェーンリスクに対する監視体制を整えた上で、サプライチェーンリスクマネジメントを実行します。リスクを検知した場合は、関係者へ迅速に通知して、即座に対応できる体制を構築しておきます。

リスクを監視・検知するプロセスは、サプライチェーンに対する影響を最小限に抑えるためにも重要です。リスクに対する優先順位の見直しやBCPの改善を適宜行い、ブラッシュアップを続けることで、自社に最適化したサプライチェーンリスクマネジメントを実行できるでしょう。

サプライヤーの一元管理ならビズネットが提供する「購買管理プラットフォーム」がおすすめ

一口にサプライチェーンリスクといっても、サイバー攻撃に起因するセキュリティリスクや地政学リスク、自然災害リスクなど種類はさまざまです。特に近年は、新型コロナウイルスの感染拡大やセキュリティリスクの脅威が増したことを背景に、サプライチェーンリスクマネジメントの必要性が高まっています。

複数の調達先を抱えていることによりサプライチェーンリスクに対する管理が煩雑であるという企業は、サプライチェーンリスクマネジメントの一環としてビズネットの「購買管理プラットフォーム」がおすすめです。「購買管理プラットフォーム」を導入すれば、調達先をシステム上で一括管理ができるほか、連携サプライヤー商品の最安値検索や、お使いの 会計システムとの連携も可能です。

「購買管理プラットフォーム」には、以下のような特徴・メリットがあります。

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さらに、ユーザーカタログ機能による既存取引先の電子カタログ化 や、請求処理業務の一元化などを行えることも魅力です。サプライヤーを一元管理したいという方は、ぜひ「購買管理プラットフォーム」の導入をご検討ください。

この記事の監修者

ビズネット株式会社

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