納期管理は、自社の製品やサービスを期日までに納入し、取引先と安定的な関係を構築するために重要な取り組みです。そのため、納期管理の概要やコツについて、把握しておきたいという方も多いのではないでしょうか。
今回は、納期管理の概要を紹介した上で、納期の遅延につながる主な原因や重要なリードタイムについて解説します。さらに、納期管理のコツ6選も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
納期管理とは、製品を納入する期限を守るために、購買から製造、物流までの各工程を管理することです。たとえば、購買品に関する納期遅延が発生した場合、生産スケジュールの見直しなどが必要となり、自社にとっての損失となるでしょう。また、完成製品の納期が遅れた場合は、顧客からの信用を損ない、継続的な取引が難しくなるおそれもあります。
なお、製造業では、納期を含めた3つの指標QCD（「Quality：品質」「Cost：コスト」「Delivery：納期」）の管理を徹底することが重要です。QCDの詳細については、ぜひ以下の記事をご参照ください。
「QCDとは？目標達成に必要な管理手法や成功させるコツを紹介」
納期管理は、大きく3つのタイプに分かれます。以下の項目で詳しく確認していきましょう。
1つ目は、顧客から製品の注文を受けて製造を行い、出荷するまでの全体の納期管理です。顧客からの信頼を得るには、納期管理を徹底して、当初設定した納期を遵守することが重要です。
また、この納期管理では、受注案件の中で未出荷の製品を集計した「受注残」を正しく管理する必要があります。受注残管理に取り組むことで、進捗状況を把握できるほか、売上予想なども可能となります。
2つ目は、製品製造に必要な資材を仕入れるための購買に関する納期管理です。生産スケジュールに沿った原材料の入荷ができないと、自社の製造工程に大きな影響を及ぼすおそれがあります。
購買に関する納期管理では、発注すべき品目の残りを把握するために「発注残」を管理することがポイントです。発注残を管理すれば、購買の進捗状況や今後の支出予測などを行えます。
3つ目は、製品を期限内に完成させるための納期管理です。前述した2つの納期管理は社外とのやり取りを対象としていますが、製品完成に関しては社内での納期管理が対象となります。
また、この納期管理では「指示残」を把握し、製造指示に対して終了していない業務を管理することがポイントです。製造現場の進捗状況を可視化するほか、生産ラインや人的リソースの調整、適切な人材配置などを行います。
次に、納期の遅延につながる主な原因について、発注者と受注者のそれぞれのパターンごとに見ていきましょう。
納期遅延につながる原因が発注者側にある場合の具体例として、以下が挙げられます。
最初の納期設定に無理があると、納期管理がうまくいかず、納期遅延につながるおそれがあります。また、社内の承認手続きが遅れているために、納期に影響を及ぼすケースも少なくありません。
製品の仕様を変更する場合は、受注者側の生産計画や製造プロセスに大きな変更が生じる可能性があるので、両者の認識をしっかりと擦り合わせておくことが大切です。
納期遅延につながる原因が受注者側にある場合の具体例として、以下が挙げられます。
各工程の管理を適切に実施できていないために、納期遅れにつながるケースがあります。また、材料の急速な需要拡大や物流の影響などを背景に材料が不足し、製品の製造が間に合わないこともあるので注意が必要です。
続いて、納期管理で重要な3つのリードタイムについて解説します。
調達リードタイムとは、製品の原材料や部品を発注して、自社に届くまでに要する期間のことです。この期間に行う業務としては、発注する材料やサプライヤーの選定、発注業務などが含まれます。
調達リードタイムが遅れると、製造開始が遅れ納期にも影響を及ぼすため、適切に管理することが重要です。調達・購買部門における課題や、業務効率化のポイントについては、ぜひ以下の資料をチェックしてみてください。
「お役立ち資料 調達・購買部門における業務効率化のポイントとは」
製造リードタイムは、製品製造の開始から完成までに要する期間を指し、生産期間とも呼ばれます。製品ごとに原材料や製造プロセスが異なるので、正確なリードタイムを把握し、納期までに適切に工程管理することが不可欠です。
たとえば、取引先に納期を回答する際には、製造リードタイムを正確に考慮する必要があります。製造リードタイムの見通しが甘いと納期遅延につながり、取引先からの信用を損なうおそれもあります。
出荷リードタイムとは、完成製品を出荷し、注文者の元へ届くまでに要する期間のことです。配送リードタイム、あるいは物流リードタイムとも呼ばれることもあります。
調達・製造のリードタイムを管理しても、出荷リードタイムの遅延が発生すると、納期に間に合わないおそれがあります。出荷リードタイムを正確に把握するためには、配送業者の繁忙期などを考慮することが重要です。
ここでは、納期管理のコツを6つ紹介します。自社で採用できる施策がないか、ぜひ参考にしてください。
余裕を持った納期管理を実現するには、リードタイムの短縮が有効です。具体的には、製造・検品・梱包のプロセスに関する改善や、人員配置の見直しなどを行い、業務効率化を図ると良いでしょう。
また、調達リードタイムを短縮するため、サプライヤーの見直しや資材の再選定を行うのも手です。新規サプライヤーを開拓すれば、既存サプライヤーよりも短い納期で資材を納入してもらえるケースもあります。
以下の記事では、製造業向けのリードタイム短縮のノウハウについて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
「【製造業向け】リードタイム短縮のノウハウを公開！注意点も併せて解説」
納期管理に役立つシステムやツールを活用するのもおすすめです。たとえば、スケジュール管理システムを導入した場合、プロジェクトの進捗を適切に管理できるようになり、納期遅れの防止にもつながります。
また、生産計画や在庫管理、原価計算といった業務の効率化を図れる「生産管理システム」を導入する方法もあります。データを全社的に共有できるので、業務効率化を図れるでしょう。
さらに「購買管理システム」を導入し、作業量の多い購買管理をシステム上で完結させることで、調達リードタイムを短縮し、納期管理を効率化する方法も有効です。
納期管理に取り組む際は、人員や設備、材料など製品製造に必要なリソースを正確に把握し、生産計画の精度を高めることが重要です。生産計画の精度が高いと、納期に余裕を持って製造を進められるほか、余剰在庫や人的コストを削減するメリットが見込まれます。
生産計画の種類として、主に以下3つが挙げられます。
| 種類 | 概要 |
| 大日程計画 | ・3ヵ月から1年ほどの長期の生産計画のこと
・使用する設備や製品改良の必要性、確保すべき人員などに関する大まかな見通しを立てる |
| 中日程計画 | ・1～3ヵ月ほどの中期の生産計画のこと
・生産能力や資材に関する計画、人員計画などを立てる |
| 小日程計画 | ・1週間～1ヵ月程度の短期の生産計画のこと
・稼働する生産ラインや設備、人員配置などを細かく決める |
安全在庫とは、保有する原材料や部品の欠品に備えて、確保しておくべき在庫のことです。一定量の在庫を保有しておけば、自社製品などの需要変動にも柔軟に対応でき、販売機会の損失を防げます。
とはいえ、在庫を抱えすぎると資材の劣化や保管スペースの不足が発生するため、適切な在庫量を確保することが大切です。調達リードタイムや、過去の需要実績などをもとに、保有すべき安全在庫を正確に算出しましょう。
生産状況を可視化させることで、納期を管理しやすくなります。具体的には、生産フローに問題がないかのチェック、オペレーションの見直しを行うことが有効です。
また、生産状況を可視化させる際は、「5S（整理・整頓・清掃・清潔・しつけ）」を踏まえた生産性の向上、あるいは「4M（Man・Machine・Material・Method）」に基づき、業務体制の改善に取り組むと効果的です。
4Mの詳細や品質不良対策については、ぜひ以下の記事をご覧ください。
「品質不良とは？原因となる「4M」や製造業の品質不良対策・対処の流れも解説」
工場作業の一部を機械化・自動化することで、品質のばらつきやヒューマンエラーの発生を防止し、納期遅延のリスクを抑制することが可能です。加えて、作業効率が向上することで、人手不足の解消にもつながります。
具体的な方策としては、製造工程に機械やロボット、ソフトウェアを活用することが挙げられます。このような取り組みは、工場の自動化（ファクトリーオートメーション）とも呼ばれています。
調達リードタイムの短縮に役立つシステムとして、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」の導入をぜひご検討ください。「購買管理プラットフォーム」は、14,000社以上の企業様に導入いただいている、間接材に特化したクラウド型の購買管理システムです。
間接材は、調達する品目やサプライヤーの多さから、管理の適正化を図れていないという企業が少なくありません。「購買管理プラットフォーム」では、30社を超えるサプライヤーと連携し、5,000万品目以上の間接材を取り扱っているので、システム上で間接材購買の一元管理を実現できます。
また、「購買管理プラットフォーム」を導入すれば、調達リードタイムの短縮につながるほか、以下のようなメリットがあります。
上記のとおり、「購買管理プラットフォーム」には、納期管理をサポートする機能が豊富に揃っているので、自社の効率化に大いに役立ちます。
納期管理では、調達・製造・出荷のそれぞれのリードタイムを意識しつつ、適切な施策を実行することが大切です。具体的な管理のコツとして、システム・ツールの活用や安全在庫の確保、生産状況の可視化などに注力すると良いでしょう。
調達リードタイムを短縮させ、納期管理を改善したい方は、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」の導入をぜひご検討ください。当システムでは、5,000万品目以上の間接材を取り扱っている上、調達プロセスを一元的に管理できるのでリードタイムの短縮にも役立てられます。
導入に向けたサポート体制も充実していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
ビズネット株式会社
受発注の業務改善によって顧客サービス向上と新たなビジネスの展開を支援する「購買管理プラットフォーム」を14,000社以上の企業に提供しています。電力、電設、建設・医療・製造などの現場専門品の購買業務を最適化し、業務やコスト削減・生産性向上を実現いたします。
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