もしも災害が発生した場合、調達プロセスで問題が起こると企業が被るダメージは大きなものとなります。そのため、調達業務におけるBCPの概要や目的を把握して、調達プロセスを見直す重要性は高いといえるでしょう。
今回は、調達におけるBCPの必要性とBCP対策の強化ポイントを紹介します。これからBCPを導入したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
まずは、調達業務におけるBCPを把握するために、BCPの概要と目的について見ていきましょう。
BCPとは、大規模な災害やテロといった緊急事態が発生した際における、企業の「事業継続計画(Business Continuity Planning)」のことを指します。
BCPの役割は、緊急事態発生時に企業が被る損害を最小限に抑えることです。そのためには、事業の中断を回避する計画、あるいは中断した場合に早期復旧できる計画を策定する必要があります。
たとえば、災害が発生した際、企業活動が長く中断して生産が停滞すると、取引先からの信頼が失われるおそれがあります。早期に復旧した競合他社に、自社のシェアを取られる可能性も否めません。そのため、BCPでは「中核事業の継続」という目標を据えて、具体的な行動指針を示しています。
なお、BCP策定等が2024年4月1日より義務化された「介護事業所」を除くと、BCP策定は義務化されているわけではなく、推奨されている状態です。とはいえ、企業として精度の高いBCPを公開することで、株主や市場から高い評価を得られるようになり、企業価値の維持・向上にもつながるでしょう。事業経営の安定性を高めるためにも、BCPは重要な取り組みの一つとなっています。
調達購買部門におけるBCPの目的は、資材の供給を確保して、企業の生産活動に与える影響を最小限にすることにあります。特に製造業の調達品は、原材料や部品、副資材など多岐にわたるため、供給網が断たれると大きなダメージを受けてしまいます。
もし、材料や部品といった直接材の供給が滞ると、製品の製造ができなくなり、生産活動がストップしてしまうでしょう。
災害で流通が途絶えてから再開までに要する期間として、通常は3日程度、大規模な災害では7日程度を要するとされています。製造事業者はBCPに則り、戦略的な在庫保有やサプライヤーの製造拠点調査などを行うことが重要です。
会社が取り組むべき「企業防災」について、以下では具体的な取り組みや事例を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
「『企業防災』は会社の責任!企業防災の取り組み方法とやるべきことについて」
近年、日本の製造業におけるサプライチェーンは複雑化、グローバル化が進んでいる状況です。万が一、災害が発生した場合に、どのプロセスがボトルネックになるかを見極めて、事業を継続させるための施策を講じていなければ、企業運営に大きなダメージを与える可能性もあるでしょう。
過去の事例を挙げると、2007年7月、新潟県中越沖地震が発生した際は、自動車エンジンのピストン部品の供給がストップして、全国的に自動車メーカーが一時生産停止に追い込まれたということもありました。
また、コロナ禍ではマスクやアルコールといった衛生用品の需要が大きくなり、供給が間に合わず、市場で品薄状態になったという事例もあります。これらの事例を踏まえると、盤石な企業運営を行うためにも、調達部門におけるBCPの重要性が高いといえるでしょう。
今回は、お役立ち資料として「企業のための防災対策ガイド」を用意いたしました。企業防災の基礎知識や具体的な取り組み、事例などを一冊にまとめたので、ぜひチェックしてみてください。
製造業がBCPを強化させるポイントとして、以下の6つが挙げられます。
BCPを強化させるポイントについて、それぞれ見ていきましょう。
調達先を分散することで、特定のサプライヤーに依存することなく、バランスの取れた調達が可能になります。また、リードタイムが長い在庫は常備しておくといった在庫調整も重要です。
従来は、特定のサプライヤーから備品を調達して、品質管理を安定させることが一般的でした。しかし、サプライヤーが被災した場合に、自社の事業も停止するおそれがあることから、調達先を分散させる企業が主流となっています。
製造業においては、基幹システムのクラウド化を進めることで、災害時のリスク低減につながるでしょう。たとえば、システムを自社施設内で運用するオンプレミスタイプを採用している場合、自社のオフィスビルなどに設置したサーバーが災害時に破損・故障すると、システムが停止して大きな損失をもたらすおそれがあります。
一方、クラウドタイプのシステムなら、もし自社が被災してもシステム停止を免れる可能性が高まります。総務省の資料によると、企業におけるクラウドサービスの利用状況は、2020年が68.7%、2021年が70.4%、2022年が72.2%と右肩上がりに上昇しています。
利用状況の結果から、多くの企業がクラウドサービスに目を向けていることがわかるでしょう。サポートが手厚いクラウドタイプのシステムを選ぶことで、スムーズな導入・運用を実現できます。
自社が優先的に守る必要のある中核事業を見定めた上で、事業継続に必要な備蓄を行うことが重要です。資材や部品の在庫調整のほか、災害発生時の復旧に必要な資機材、従業員を支援するための備蓄などが挙げられます。
具体的な備蓄の例としては、資材・部品の在庫、被災設備の復旧・代替稼働に使える資機材、災害対応にあたる従業員の食料・飲料水・寝具などが該当します。これらの種類は多岐にわたるので、自社の優先度を決めて必要な備蓄を整備しましょう。
「企業のための防災対策ガイド」は、以下よりダウンロードいただけます。
企業がサプライチェーン情報を管理する際は、調達品ごとに管理することも検討しましょう。調達品ごとにサプライヤー情報を管理している場合、1次サプライヤーに問い合わせることで、2次・3次サプライヤーの被災によって自社の調達品に影響するかをスムーズに把握できます。
このように、サプライチェーン情報を効率的に管理できる仕組みを構築しておけば、災害が発生した状況下においても、生産の可否の判断を迅速に下せます。
BCP強化に向けて、「事業継続力強化計画認定制度」の認定事業者になるのも一つの手です。これは、中小企業が作成した防災・減災に関する計画(BCP)を経済産業大臣が認定する制度です。
認定を受けた企業は、中小企業防災・減災投資促進税制といった税制措置や、補助金の加点などの支援策を活用できます。また、中小企業庁のホームページでは、認定企業の公表も実施しているため、対外的なPRにもつなげられるでしょう。
サプライヤーの事業継続力を強めるため、BCP策定を支援するメーカーが増えつつあります。サプライヤーによっては、個別に計画を立てるノウハウや人的リソースが不足していることが原因で、BCP策定が遅れるケースもあります。
BCP対策を支援するメーカーより、具体的なノウハウや知識を習得することで、サプライチェーン全体の方向性を統一させることにもつながるでしょう。結果として、グループ全体の事業継続力の強化につながります。
BCP対策の強化には、システムのクラウド化が有効です。そこで、ソフトウェアをクラウド上で利用できる「SaaS型の管理ツール」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
SaaS型の管理ツールとしておすすめなのが、ITトレンドの購買システム部門で年間ランキング1位を獲得している、ビズネットの「購買管理プラットフォーム」です。ビズネットでは独自のBCP対策を実施しており、災害時や緊急時の対策をまとめているため、本システムも安心してご利用いただけるでしょう。
14,000社以上の導入実績を誇り、導入すれば電設・建設・医療・製造など、現場専門品の購買業務の最適化やコスト削減が可能になります。さらに、間接材の一元管理も可能なので、購買業務の効率化・コスト削減を実現できるでしょう。
詳しいサービス内容については、サービス資料をご覧ください。下記ページ内のフォームへご入力後資料をダウンロードいただけます。
「購買管理プラットフォーム」には、ユーザーカタログ機能があり、商材の電子カタログ化が可能です。また、購買情報を可視化できるので、全社的なガバナンスを強化できるでしょう。
その他のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
上記のとおり、「購買管理プラットフォーム」には自社の課題解決につながる機能を揃えており、多くのメリットがあります。SaaS型の管理ツールの選択肢として、ぜひ「購買管理プラットフォーム」をご検討ください。
災害の発生時でも、自社の経営を安定的に継続するには、企業におけるBCP対策を強化する必要があります。BCP対策の強化に向けて、「調達先の分散・在庫調整を行う」「システムのクラウド化を推進する」「事業継続に必要な備蓄を行う」といったポイントを押さえて対策を講じましょう。
SaaS型の管理ツールであるビズネットの「購買管理プラットフォーム」なら、災害発生時に自社のサーバーが破損・故障するというリスクを回避して、安定的に購買管理システムを運用できます。電設・建設・医療・製造など、現場専門品の購買業務の最適化やコスト削減にもつなげられるので、ぜひBCP対策として導入を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事の監修者
ビズネット株式会社
受発注の業務改善によって顧客サービス向上と新たなビジネスの展開を支援する「購買管理プラットフォーム」を14,000社以上の企業に提供しています。電力、電設、建設・医療・製造などの現場専門品の購買業務を最適化し、業務やコスト削減・生産性向上を実現いたします。
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