企業防災

日本は地震大国です。甚大な被害をもたらした2011年の東日本大震災をはじめ、大きな地震が各地につめ痕を残しています。また、災害は地震だけではありません。台風は毎年のように日本列島に接近、上陸し、2018年7月には台風による豪雨が西日本各地に大きな被害をもたらしました。異常気象による影響もあって想定外の大きな自然災害が日本のどこで起きてもおかしくない状況です。
大規模な自然災害は、地域住民の生活だけでなく企業活動にも大きな支障を与えます。災害に対する意識を高め、備えをしておくことで被害を軽減できます。企業としての災害対策である企業防災に努めることは社会の一員である企業の責任です。今回は、必要性と重要性がますます高まっている企業防災について詳しく解説します。

企業防災の取り組み何をすべき?

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企業防災とは?

企業防災とは、災害に対して企業が行う取り組みですが、ふたつのアプローチが必要です。ひとつは災害によって生じる人的・物的被害を最小にする「防災」のアプローチです。もうひとつは災害に遭っても企業活動をできるだけ維持し、平常状態への早期回復を目指す「事業継続」のアプローチです。
「防災」アプローチとは、「防災訓練」「耐震補強」「備蓄」などを行います。一方、「事業継続」アプローチは、「業務を中断させないためのバックアップ体制の整備」や「復旧手順のマニュアル化」などを行います。企業活動を維持し、早期に復旧するために立案しなければならない対策・計画は「事業継続計画(BCP)」と呼ばれます。

企業防災が必要な背景

企業防災が必要な理由は、従業員や顧客の生命の安全を第一に考えなければならない責任が企業にあるからです。また、それだけでなく地域社会の一員として企業活動をできるだけ維持して災害の復旧・復興に貢献する責任も負っているからです。災害により大きな損害を企業が受ければ、業務が停止する可能性があります。その間は地域社会へ貢献ができず、また取引先を含む利害関係者への製品やサービスの提供もできないので、場合によっては災害を受けていない地域の経済・社会へも大きな悪影響を与えます。さらに、倒産の危機に陥る可能性もあります。そのため防災と事業継続を考えたふたつのアプローチは密接に関係し、共通する対策も含まれることから両方を同時に推進しなければなりません。

企業防災において義務付けられていること

企業には法的責任がある

企業が従業員や顧客の安全を考えなければならない責任は、道義的な責任ではありません。法律による明確な規定はありませんが、最高裁判所の判例で企業に「安全配慮義務」が義務付けられています。自然災害で企業の責任が認められた最近の判決としては、2015年1月13日の「仙台地方裁判所の第一審判決」があります。この裁判では、東日本大震災による津波で自動車教習所の教習生25人と職員1人が犠牲になったことに対して企業の責任が問われました。

企業に災害対策を求める地方自治体の条例

法的な責任とともに、企業に対して主に大都市を抱える地方自治体(都道府県や政令指定都市など)が条例を定め、企業に対して備蓄を求めています。例えば東京都は、「帰宅困難者対策条例」として災害時に従業員が帰宅できなくなったときの対策を定めています。具体的には、従業員1人あたり3日分として「水9リットル」「食料9食」、および「毛布1枚」の備蓄を求めています。
なお、東京都は最低限の防災用品しか指定していませんが、次のような用品も従業員や顧客数に応じて備蓄しておくことが必要です。
・非常持出袋・ヘルメット・マスク・救急セット・生理用品・懐中電灯・乾電池・軍手・メガホン・担架・工具一式・携帯トイレ(処理剤を含む)・ラジオ・台車・発電機(燃料を含む)・マッチ・ろうそく・マスクなど。

副資材調達の問題点

副資材は、なぜ調達の効率化が進まないのでしょうか。それは、自社のそれぞれの部署が発注するため発注窓口が多いこと、さらに多品種の資材を仕入れる必要があるため仕入れ先が多いことが考えられます。そのうえ多品種少量発注のため一品種あたりの購入金額も小さいことも効率化が進まない原因のひとつでしょう。また、副資材の低コスト化に立ちはだかる問題として、そもそも問題意識自体が持たれていないことも挙げられます。副資材を必要とする部門や社員が業務の合間に個別に発注するやり方では当然、コスト削減は望めませんが、それが効率の悪い発注方法だとはあまり意識されていません。つまり、副資材にコストがかかっているという認識自体が薄く、隠れたコストになりやすいのです。

しかし、この現状をそのままにしておくのは前述したとおり問題です。効率的に副資材を仕入れられる環境が整ってきていることも考慮すると、隠れたコストを徹底的に洗い出し、利益を少しでも生み出すためにもコストの削減を考えるべきでしょう。

ここからは、あらためて、「副資材調達の問題点」についてまとめて、副資材のコスト削減について考えましょう。

仕入れ原価の削減が難しい

副資材の調達価格を抑えようとすると、以下のような問題があります。
個別部門の購入では、多品種少量のため価格削減交渉ができない
価格交渉を行うには、仕入れ先にとって重要な顧客(大口顧客)になる必要があります。大量に購入する代わりに単価を下げる「ボリュームディスカウント」ができるからです。仕入れ先企業は、多少価格を下げても購入額が多ければ利益が出るため、定期的に大口注文をしてくれる重要な顧客を失わないようにするためにもボリュームディスカウントに応じます。直接材は少品種多量のため、このような価格交渉がしやすいのですが、副資材は多品種少量のため仕入れ先が分散し、仕入れ先企業1社あたりの発注量が少量のためボリュームディスカウントによる価格交渉がほとんどできません。

他に品質・価格に優れた副資材があってもその情報が共有されない
仕入れ原価をより安くするには、できるだけ多くの仕入れ先を探し出し、資材の品質・価格といった情報を得る必要があります。複数の仕入れ先を比較検討し、より高品質で低価格なものを選ぶことでコスト削減につながるからです。また、「仕入れ先の比較」は価格交渉においても重要です。仕入れ業者間で競争させられれば、価格交渉を有利に進められるからです。しかし、副資材は、部門や社員が個別に調達していることが多く、このような情報がなかなか共有されません。

効率化が難しいので人材費などのコスト削減が難しい

副資材は、直接材に比べると以下のような特徴があります。

  • 一元管理や標準化による効率化が進められない
  • 重要なコア業務の中断やコア業務に集中できないなどの問題が起きる可能性がある
  • 見積もりや品質の確認などを同じような副資材を個別部門・個別社員が行うことで調達に無駄が生じる
  • 調達ノウハウが共有されない など

つまり、属人的な仕入れ業務が蔓延している状況では、仕入れ業務の効率が悪いというだけでなく、余計な経費がかかっていることすらあるのです。仕入れ原価を下げにくい副資材の調達において、コスト削減を実現するためには、属人的な調達方法からの脱却が不可欠といえるでしょう。

企業防災の具体的な取り組み

企業防災には、「防災」の観点からと「事業継続」の観点からという2種類のアプローチがあることを紹介しました。次は、それぞれのアプローチで必要な具体的な取り組みを紹介します。
具体的な取り組みの前に、以下の手順を踏むことが必要です。

  1.   過去の自然災害による被害を調べる
  2.   災害に対する対策方法を知り、地域に合った対策は何が必要かを調べる
  3.   上記を元に自社の災害対策を作成する(作成済みであれば定期的に見直す)

上記に必要な資料は、国土交通省、消防庁、気象庁、警察庁、地方自治体、大学や団体などの調査結果、研究、災害対策マニュアルなどを参照します。

「防災」の観点からの具体的なアプローチ

防災からのアプローチでは、どのような災害があるか想定し、さまざまな準備・対策を行うことが重要です。

  • 被害に遭う可能性のある災害を想定し、必要な災害対策の立案とマニュアル化
  • 必要量の食料や医薬品などの備蓄(従業員および顧客分)の準備
  • 必要な耐震補強策の実施
  • 出火防止、看板の落下防止、窓ガラスの飛散防止など必要な二次災害の防止策の策定
  • 自社内への防災計画の周知・啓発と訓練の実施、および自治体と災害時の支援協定の締結や地域の防災訓練への参画
  • ホームページなどで防災への取り組みの内容を発信

「事業継続」の観点からの具体的なアプローチ

事業継続からのアプローチでは、まず事業に著しいダメージを与える重大被害を想定し、継続すべき重要業務を絞り込みます。そして、重要業務の継続に不可欠で、業務の復旧の制約となる重要な要素(ボトルネック)を洗い出し重点的に対処することが必要です。

  • 緊急時の経営に関する意思決定ルールの作成
  • 迅速に従業員、顧客の安否を確認できる体制の構築
  • 重要データのバックアップと重点業務を代替できるバックアップシステムの整備
  • 既存オフィスが使えないときに備えたバックアップオフィスの確保
  • 上記を含み、誰が何を、どこで、どこまで、どのように実施するかの「事業継続計画(BCP)」の作成と周知・徹底

企業防災の事例

実際に防災と事業継続に対する取り組みを行ったことで、事業の早期復旧に成功した企業の事例を紹介します。

複数のスーパーマーケットを経営する会社の例

新潟県にある会社は、2004年に起きた新潟県中越地震で県内22店舗が被災し、そのうち3店舗は壊滅的な被害を受けたことから閉鎖を余儀なくされました。この反省を生かし、「被災地で需要が高い商品の洗い出しと調達先の整備」「第二物流センターの設置」「地震計に連動した緊急停止装置の設置」などの取り組みを実施。この結果、2007年の新潟県中越沖地震では7店舗が被災しましたが、4店舗が当日に営業再開でき、翌日にはさらに2店舗、翌々日には残りの1店舗も営業再開ができました。防災と事業継続の両方の取り組みにより、わずか3日で被災した店舗のすべてで営業再開ができ、自社の損失を軽減させるとともに地域社会への貢献も果たしました。

自動車部品用金型メーカーの例

同じく新潟県にある自動車部品用金型メーカーは、「設備復旧手順のマニュアル化」「パソコンを使った知識の共有化」「毎月開催の全社勉強会での周知徹底」などを行うことで、いつ災害が起きても、従業員が自ら考えて動けるように努めていました。その結果、震度6強の地震に見舞われたときにも、工作機械の点検整備がスムーズに行え、わずか1日の遅れで製品を出荷できました。

電子部品メーカーの例

熊本県の電子部品メーカーは、「自然災害を想定した日々の訓練」「必要物資の備蓄」などに取り組んでいました。そのおかげで、2016年の熊本地震で被災しましたが、使用する設備がデリケートな精密機器であったにもかかわらず、予定よりも早い2週間で生産を再開できました。

「事業継続計画(BCP)」の作成と防災用品の準備が大切

紹介した事例で分かるように、平時からどれだけ災害に備えた準備をしておくかで災害時の復旧速度が大きく異なります。企業として従業員、顧客の安全を守り、企業自身を守るためには「事業継続計画(BCP)」の作成と食料や防災用品の備蓄は欠かせません。防災用品の備蓄には、あらゆる防災用品をすべてまとめて調達できるサービスを利用すると便利です。

参考:

企業防災のページ|内閣府防災情報のページ

企業の事業継続への取組事例(PDF)|内閣府

東京都帰宅困難者対策条例|東京都防災ホームページ

この記事の監修者

ビズネット株式会社

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